ニューヨーク生まれの 「スチューベン」
スチューベンという名のぶどうを知っていますか?
スチューベンは、ニューヨーク州立農業試験場が育成した品種で、日本には1952(昭和27)年に導入されました。この品種、ぶどうとしては珍しく温暖な地域での栽培は不向きです。しかも寒すぎても生理障害がおこりやすく栽培できません。スチューベン誕生の地”ニューヨーク”と同緯度にあり、雪が冬の寒さから樹を守ってくれる津軽地方こそ、このスチューベン栽培に最も適しているのです。国内に出回るスチューベンのほとんどは、青森県(鶴田町、藤崎町など)で生産されています。
極甘のぶどう
スチューベンの糖度は20~22度。巨峰は18度くらいですからその甘みの強さがわかります。
日本のぶどうの代表的な甘さ成分は「果糖」と「ブドウ糖」です。「果糖」は甘味が強い反面消えやすい性質があり、「ブドウ糖」はやわらかでさわやかな甘さが特徴なのですが、なんとスチューベンにはそれ以外の甘味成分「ショ糖」がたくさん含まれているのです。「ショ糖」は強い甘さが持続するという特徴があるため、口の中にあのとろりとした甘~い香りが残るというわけです。さらに、低温貯蔵中の呼吸作用によって酸味成分が消費されることも、非常に濃厚な甘味が出現する大きな要因でもあります。
冬の貴重な国産ぶどう
スチューベンは他産地のぶどうが終わる頃に登場します。ぶどうは一般的に貯蔵性が低いため、収穫してすぐに出荷・販売されるのが当たり前です。これは、ぶどうに限らずさくらんぼや桃など果肉がやわらかい果実にとって常識的なことです。
しかし、糖度が高く果肉はやわらかいものの、小粒でしっかりした表皮に包まれているスチューベンは、ぶどうとしては奇跡的な貯蔵性をもっています。だから、収穫直後の9月下旬から翌2月頃までおいしく食べることができるのです。
冬は外国産ぶどうがたくさん出回る時期ですが、スチューベンは同時期で唯一の国産ぶどうと言われています。
おいしい食べ方
スチューベンは、ホルモンによる種なし処理や実を大きくする肥大処理を行っていません。そして、津軽の寒冷な気候のお陰で病害虫防除も最小限に抑えられています。よく冷やした後、口の中でつるりと皮をむき、安心して種ごと飲み込んでください。
かまずに飲み込む。これがスチューベンを一番美味しく食べる秘訣です。
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