実りの秋。青森県内のあちらこちらの水田は、みごとな黄金色に輝き、収穫を迎えています。
”黄金色”といえば忘れてならないのが「ゼネラル・レクラーク」。青森県が日本で初めて導入し、大事に育てている洋なしです。
この洋なしは、フランスのパリ近郊で1950年頃に発見された比較的新しい品種。”幻の洋なし”として人気が高い「ドワイエネ・デュ・コミス」の自然交雑実生と推察されています。
日本へ初めて導入されたのは1977(昭和52)年。当時の畑作園芸試験場果樹部(現県南果樹センター)がフランスから直接苗木を取り寄せました。この品種のおいしさに惚れ込んだのが南部町の若者たち。西洋なしといえば「ラ・フランス」と言われたこの時期に、国内唯一の産地づくりを目指した挑戦が始まり、今では日本最大のゼネラル・レクラーク産地として知られるようになりました。
この噂を聞きつけて追随しようとする地域もあったようですが、樹勢が弱いうえ病害に弱いこと、本県以外でつくるとなぜか酸味がきつくなることなどから、まとまった産地はほかにありません。
「ゼネラル・レクラーク」の特性は、ひときわ目をひく大きさと黄金色の果皮、そしてとろけるような食感でしょう。洋なしとしては酸味がややありますが、その果肉はきめ細かくなめらかで、果汁はかなり豊富。独特の芳香があり、最もおいしい洋なしに数えられます。
おいしいのは間違いありませんが、気をつけなければならないのは食べ頃の見極め。食べ頃を見誤って、残念な思いをしたことがある人も多いのでは?
洋なしは、りんごなどと異なり、硬いうちに収穫し、追熟してから食べる果実です。大部分の洋なしは、りんごのように色がつきませんし、地色が明らかに変わるわけではないので、収穫適期の判断が難しい農家泣かせの果実でもあります。
収穫時期は9月下旬から10月上旬。20日程度かけてじっくり追熟(温度と湿度で調整。もちろん薬品は使いません。)させてから出荷します。お店に並ぶのはもう少し先。お店に並ぶ頃にあわせて追熟処理されているのでそれほど心配いりませんが、本当のおいしさを楽しむため、果皮がしっかり黄金色になっていること、軸の周辺が赤ちゃんの手のようにやわらかくなっていることを確かめてから召し上がってください。きっと極上の味に出会うことでしょう。
※追熟の適温は15~20℃。冷蔵庫に入れると呼吸量が減り、追熟が進まなくなるので、冷やす場合は追熟が終わってからにしてください。
by 義人
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