りんご、ニンニク、ナガイモの影に隠れがちですが、
青森県は作付面積、出荷量とも全国一位を誇る「日本一のゴボウ産地」です。
とりわけ栽培が盛んなのは三沢市周辺。生産者達の意気込みがこんな看板になっています。
ゴボウは、桜鍋やせんべい汁など温かい地元料理に欠かせない野菜ですが、
原産地と考えられているヨーロッパではなんと雑草扱い。
野菜として扱っているのは、日本と韓国、台湾の一部だけなんだそうです。
日本に渡来したのは縄文時代で、もともとは存在しなかったといいますから、何とも不思議ですね。
三沢地域は夏場に「偏東風(ヤマセ)」と呼ばれる冷たい風が吹きつける冷害の常襲地帯。
このため、天候の影響をより受けやすい果菜類より、天候に左右されにくい「根菜類」の栽培が適しています。一般的に考えれば作物に不利な気象条件ですが、冷涼な気候を好むゴボウにとってはうってつけなのでしょう。
また、ここ一帯は、「ローム質火山灰」という砂と微粒土及び粘土が混合した土壌が堆積し、表層には腐植に富む黒ボク土が分布しています。石ころのないこの層の深さは約50㎝、深いところでは1mに達するところも。だから、ゴボウをはじめとする根菜類の栽培にはとっても適しているのです。実際、この地域では、ナガイモ、ニンニク、ニンジンなどの栽培も盛んで、ゴボウはその輪作作物としても重要な役割を担っているんですよ。
ゴボウの種類は、局地的で生産量が少ない「短根種」と現在主流となっている「長根種」に大別されます。青森県で栽培されている品種はほとんどが長根種の”柳川理想”。尻部まで肉付きが良く、ひげ根が少ない優良品種で人気が高いのだそうです。
知ってほしいのはここから先。三沢のゴボウは、同じ「柳川理想」でも、色が白くキレイで香りが良く、繊維質が残らないやわらかさで他産地を圧倒しているのだそうです。ゴボウの収穫は8月から12月中旬。JAの施設で選別されたあと、鮮度を保つため、真っ黒な土付きのまま全国に出荷されていきます。本当は色白できれいなのですから、ちょっと「童話みにくいアヒルの子」のようですね。
地元の方から聞いたお手軽メニューは「ゴボウチップス」。ピーラーなどでうすく削ったゴボウを水でさっと洗い、ポリ袋の中で市販の唐揚げ粉をまぶし、中火の油でゆっくり揚げるだけ。
これなら私にもできるかな。
by 義人
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