青森中のりんご園ではただいま摘果(てきか)作業の真っ最中です。
摘果とはりんごの実を間引く作業。実すぐりとも言います。
りんごは、一つの株に5つくらい花を咲かせますが、
これらを全部りんごの実にすると 栄養分が分散され、
糖度が低くて味のうすいりんごがたくさん実ることになります。
実も小さすぎてちょうど良い大きさにはなりません。
また、樹の栄養が足りなくなって、来年の花芽ができなくなってしまいます。
そこで、3~5株(つまり実が15~25)に1つの実になるよう間引いてしまうのです。
※花の時期に摘むと摘花です
さて、
これらは今や当たり前の技術として普及していますが、
その栽培方法の確立には、
全国で唯一のりんご試験場が大きな役割を果たしてきました。
青森県で西洋りんご(今のりんご)の栽培が本格化したのは明治時代半ば。
当時は栽培方法など確立されておらず、
梨や桃などの栽培を模倣しながら勘と経験に頼った栽培が行われていました。
当時は主穀重点主義で果樹栽培に援助がなかったため、
りんご栽培は民間の努力によって支えられていたのです。
ところが、明治30年代、病害虫や生理障害の発生がいよいよ著しくなり、
廃園が続出する事態となり、
1931年(昭和6年)「青森県苹果試験場(現在のりんご試験場)」が建築されたのです。
りんご栽培者が待ちこがれたりんご研究機関の誕生でした。
以来、りんご試験場は、それぞれの時代において、社会情勢に対応した難題に取り組み、
数々の技術革新をもたらしてきました。
これらの研究成果・業績は、国内のみならず世界でも高い評価を得ています。
我が国唯一のりんご試験場は世界最強のりんご試験場とも言えるのです。
青森りんごの歴史とりんご試験場の功績は、
りんご試験場に併設されたりんご史料館で詳しく知ることができます。
この建物は、昭和6年に英国のイーストモーリング研究所の建築様式を参考に建てられた旧青森県苹果試験場本館です。昭和43年に現在の庁舎が完成したため、「りんご史料館」に役目を変え、平成13年に改修されました。
史料館はりんご試験場の事務室に申し出れば土日でも見学可能(無料)です。
黒石方面にいらした際は、
りんご研究のど真ん中にいる「青森県りんご試験場」にもぜひお立ち寄りください。
近くには黒石焼きそばの名店もありますよ(笑)。
by 義人
※正式名称は「青森県農林総合研究センターりんご試験場」です。
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。