津軽で”かりん糖”といえば、
おそらく誰もが真っ先に思い浮かべるのがこの「縄かりん糖」です。
細長く練った小麦粉をひねり、
大豆油で硬く揚げるという製法は、
明治時代の頃から変わっていないそうです。
「縄かりん糖」の最大の特徴はもちろんこの独特の形ですが、
かりんとうにつきものの砂糖蜜がからめられていないことも特徴のひとつ。
「どうして蜜をぬらなかったんでしょうね~?」という私の愚問に、
「蜜をぬるとただの大きなかりん糖に見えますから。」とご主人。
なるほど!(笑)
甘さ控えめの「縄かりん糖」は今でも根強い人気を誇っています。
この「縄かりん糖」をつくる弘前市の石崎弥生堂は嘉永七年(1854年)の創業。
もともとは「おこし本舗」の看板を掲げておこしや水飴を作っていましたが、
三代目のときに「夏場でも売れる商品はないか」と思い立ち、
苦心の末にこの「縄かりん糖」を考案したのだそうです。
当時の縄かりんとうは夏季限定の商品。
冬場は寒さのために折れやすく、うまく縄状にねじれなかったことが理由でした。
しかし、五代目があることを思いついてこの難問を克服し、今ではきれいな形の「縄かりん糖」を一年中製造できるようになったといいます。
”あること”って何でしょう?
気になる方は袋の裏を見てくださいね。わかるかもしれませんよ~。
現在お店を切り盛りしているのは22才の時に修行から戻ってきた6代目の庸一(49才)さん。庸一さんは150年も続くこの店の銘菓を大切に守り続け、1998年に岩手県で開催された全国菓子大博覧会では、この「縄かりん糖」で栄えある「農林水産大臣賞」を受賞しています。
前より少しやわらかくなったそうですが、それでも十分固い「縄かりん糖」。
覚悟を決めてガリっとかじれば、縄が口の中でほどけ、あとはポリポリポリ。
揚げたままの素朴な味は何度食べてもたまりません。
by義人
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