子供の頃は、秋が嫌いでした。
雪が解けて日が長くなり、草木が芽吹き一斉に花が咲きそろい、全てのものがその生命を謳歌するイメージの春に比べ、冷たくなった風に吹かれて散る紅葉なんてものは全く、小さな私の琴線には触れなかったのです。
しかし、心根はともかくとして一応大人になり、いくらか年輪を重ねると、錦繍の山野に、舞う木の葉に、突然ハッと息を呑むような美しさを見出す瞬間に出会ったりするもの。
してみると、気づかないうちに私も成長していたのだなぁ…
なんて思いにふけるように、秋のお出かけと言えば一般的には紅葉であり、十和田湖・奥入瀬をはじめとする紅葉の名所が、もうすぐ見頃を迎えます。
…が、そこは百も承知のうえで、でもやっぱり未だ見ぬ青森を探しに行くのもいいよね!の旅、二度目の登場です。
今回のターゲットは下北半島の太平洋側、六ヶ所村~東通村。
下北半島はその形から「まさかり半島」とも呼ばれますが、その柄の部分にあたります。
さて、腹が空いては戦ができぬ、とまず訪れたのは六ヶ所村泊地区の「文化食堂」さん。
以前このブログでも紹介されていますが、頼んだのはYOSHIHITO推奨の「いか沖漬け定食」。焼いた沖漬けとは珍しいけど、美味しいってどれほどよ、と…
…!軽く考えてすいませんm(__)m
これまで私は県外含め、いろんなお店でイカの沖漬けを食べてみました。
が、大抵は「しょっぱいしょうゆ漬けのイカ」に過ぎず、生でも焼いてもイケてるイカが、なぜこんなことに…と、悲しい思いをしていたものでした。
しかし、ここの沖漬けは全く違う!これはもはや「驚き」と言ってもいいほどです。
漬けダレの塩梅が良いのもあるでしょうが、ほろ苦くも深いコクを生み出す腑(内蔵)と身が奏でるハーモニーは、まさに至福の一本!私の「沖漬け観」を根底から覆しました。
(※イカは一杯、二杯と数えますけど…形的に一本で)
ここでは身が厚くなりすぎたものは使わないほか、餌を食べた直後のものは内蔵にその餌が残って食感がぼそぼそするので使わないのだそうです。
なるほど、厳選した獲れたてイカを、言葉通りに沖で「どぼん」と漬けダレに投入する、そんな真っ正直さがこの味を生み出しているのですね。いやはや、感服いたしました。
十二分にお腹は満ちたので、次は腹ごなし。
文化食堂さんから海を右手にしばらく北に向かうと泊漁港に行き当たりますが、通り過ぎて更に先、15分ほど歩くと岩をくり抜いたトンネルが現れ、そこをくぐり抜けてたどり着くのが「滝の尻大滝」です。
滝の高さは6m。名前の割にかわいい滝だねぇ、なんて笑みもこぼれそうですが、耳を澄ますと流れ落ちる滝の音に打ち寄せる波の音。
いやぁ、水音はいつ聞いても心が癒されます…て、ん?
そうなのです、この滝は海に非常に近いのです。
振り返ればそこはすぐ海。滝からの距離は…そうですね、30メートルくらい?
こんな海辺で滝を眺められるというのは、なんだか軽い不意打ちを食らった気分です。
(※車でも滝のすぐそばまで行けますが、漁業者の作業道路を通るので、運転は慎重に)
そして少し戻って国道338号線に出て北上、車で10分ほど走って東通村に入ったあたりにあるのが「白糠灯台」。(「物見崎灯台」とも言います。地図を見るとちょうど六ヶ所村と東通村の境界上に位置するようです)
入口が分かりづらく、入った先も車はほんの数台停められる程度のスペースしかないので、あまりたくさんの人が訪れるような場所ではないですが…どうです、なかなか雄大な風景じゃありませんか!
足元から下を見ると、二時間ドラマで追い詰められた犯人の気分も味わえます(笑)
が、柵があるわけでもないので、あんまり端には寄らない方が無難です。
というわけで、観光はちょっとマニアックすぎた気もしますが、今回も素晴らしい味と新たな風景に出会えました。
さーて、次はどんなところに行ってみようかな…(と言いつつ、またしても次回は未定)
by くどぱん!
○文化食堂
六ヶ所村泊字村ノ内28
TEL.0175-77-2031
営業時間:10:30~20:00(不定休)
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。