前回に引き続き、かや人形です。今回は、十和田市板ノ沢集落の「人形結い」を見学させていただきました。板ノ沢集落の神事は、子どもたちが参加できるよう、海の日の祝日に行われるようになったそうです。(梅集落は、大人だけが参加した神事でした。)
同じかや人形でも、集落が異なれば作り方も違いました。ココでは、最初から人の形にかやを並べて積み、縛っていくやり方です。
さらに、簡単な設計図面と顔の型紙、人形の体を支える骨組みのようなものも準備されます。
この骨組みのようなものは、人形の内部に埋め込まれました。
人形作りが行われている倉庫の外では、男性人形用のちょんまげと女性人形用の髪飾りが作られています。
髪飾りには花が飾られ、実に美しく仕上がっていました。
また、子どもたちは、大人たちに手ほどきを受けながら、一緒に小さな人形を作っていきます。
倉庫では、前掛け(?)の模様が描かれていきます。梅集落では、男女ともに梅でしたが、ココでは、男女別模様です。
斜めに引かれた線の間隔は、はさみの柄の部分で幅が取られ、女性用は華やかに2色のペンで描かれました。
さて、人形は頭、胴、手足が縛られて形作られた後、袋状のゴザが頭にかぶせられます。女性人形の胸部分には、丸く曲げられたかやが積まれ、女性らしさが表現されます。
梅集落では手の指が形作られましたが、ココでは、足の指も形作られました。
そして顔。慎重に型紙を人形に合わせ、顔を描いていきます。
多くの人が型紙を押さえていましたが、女性ばかりだったのが印象的です。
小さな人形作りを終えた子どももやってきて、作業を見守っています。「お父さん人形」「お母さん人形」と呼んでいる子どもたちを見て、その純真な気持ちに心が洗われたような気がしました。
さて、これからが板ノ沢集落における神事のメインイベント。完成した一対のかや人形が神社の境内の木に結ばれると、集まっていた集落の人たちが、かや人形の足元に、きれいな花で飾られた小さな人形を置き、お祈りしていくのです。(梅集落のように、串もちが刺されることはありません。)
この小さな人形、男女、夫婦があるそうで、安産、子孫繁栄を願ってかや人形の足元に置かれるそうです。
お年寄りから小さな子どもまで、かや人形に手を合わせているその姿は、実に感動的な光景でした。
かや人形の作成中、お年寄りから若い方へ「ちゃんとやり方覚えて、自分たちでやっていけるようにならなければだめ」という言葉が頻繁に述べられていました。こうして集落の伝統文化が伝承されていくのですね。
by ハッピーハンド
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。