幼いころから食べていた街のパン屋のパン。
いつでも買える何の変哲もない普通のパンだと思っていたけれど、進学や就職でしばらく地元を離れてみたら、無性にそのパンが食べたくなったっていうことありませんか!?
ワタシにとって、それはチャパティの『チョコチップ』。
八戸で過ごされた方にとっては、「おくせのパン」のチョコチップといった方が、ピンとくるかもしれませんね。
チャパティは、戦後、奥瀬製パンとして始められた八戸市にあるパン屋さん。
大正5年生まれの初代が、青森市の栄作堂に丁稚奉公に行ったことからスタート。
その後、東京と横浜で修行をし、昭和20年、八戸市でパンの卸売りから始め、現在にいたります。
終戦直後は、発酵焙炉、半切缶に水を入れ練炭で蒸気を発酵させる釜など、全て手作り。材料を手に入れることも大変だったそうです。
二代目である奥瀬強さんは、小学生の頃からパンの配達をお手伝いしていたそうで、お店に入ったのは20歳から。
その後、パンの箱に「おくせのパン」と標記するようになったそうですが、八戸で高校時代を送ったワタシにとっては、「おくせのパン」という響きだけでも超懐かしい♪
強さんがお店に入って3~4年後、それまで八戸東高校だけだった高校購買部での販売を、八戸高校、八戸北高校など市内の高校購買部に広げたそうです。
その時、購買部用に誕生し、菓子パン、焼調理パン、食卓パン、サンドイッチなどの中で一番人気だったのがチョコチップ(145円)。
あんパンなどの約4倍の個数が売れたそうですよ。
ワタシも当時、チョコチップの大ファンで、お昼の鐘が鳴ると同時に教室を飛び出し、購買部までの廊下をダッシュして買ったものですよ~~。
それくらい購買部のスターだったんです♪
山型の食パンにホイップクリームを挟んでチョコチップをまぶしただけのシンプルなあま~~いパン♪
一口頬ばるだけで、中庭の芝生で桜を見ながら食べていた友達との光景だったり、部活で青春していた自分自身がキュンキュンとよみがえってきます♪
味も当然美味しいのですが、ワタシにとって、美味しいだけじゃない大事な思い出の味というか、ふるさとに帰って来たということを口で感じるパンというか、そういう思いがギューッと詰まった特別なパンなのです。
今でも女性を中心に幅広い年齢層に人気だそうで、当時、購買部で購入していた世代のお客様が「チョコチップあった~」と喜ぶ姿、「お母さんも高校生の時に食べてたのよ」なんて子供にお話している姿を見ると、本当に「ものを作ることへの喜び」を感じるそうです。
強さんは、「戻ってくるまでパン屋は大変だからと避けてきた仕事だったけれども、始めてみると興味がわいて面白くなってきたんです。この経験を、学校行事で訪ねてくる子供達に教えているんです。」とお話してくれました。
こうやって、地域のお客様と会話ができるのも、街のパン屋さんの素敵なところですよね。
ちなみに、最近の人気商品は、粒あんを包んだシンプルな白いパンにパン粉を付け、白焼きにし、最後にホイップクリームを注入したフランスあんパン(145円)。
粒あんとホイップの甘さもまた、チョコチップ同様にクセになる美味しさでしたよ。
わたしたちは、「ふるさとに帰るたびに必ずいの一番に食べたくなる懐かしいパン、親子で食べ続けている街の名物パン、高校の購買部でいつも食べていたパン・・・そんな一見普通だけど、特別なパン」を焼き続けている街のパン屋さんを、『ふるさとベーカリー』と呼ぶことにしました。
(パンの目安は、30年以上としています。)
あなたの街の『ふるさとベーカリー』では、どんなパンを焼いていますか!?
これから、不定期となりますが、「青森ふるさとベーカリー」を、シリーズでご紹介していきます!
まるごと青森スタッフが自分にとって思いの強いパンを紹介するリレー方式なのですが、紹介したいお店の奪い合いが早くも過熱中です(笑)。
みなさまも情報がありましたら是非、思いとともにお寄せください。お待ちしてます♪
by Kuu
【チャパティの「チョコチップ」】
「チョコチップ」のパン年齢 昭和47年頃誕生の38歳くらい
柏崎店 八戸市柏崎2-1-29 0178-22-2967
7:00-19:00
石堂店 八戸市石堂2-25-5 0178-20-5821
7:00-20:00
定休日 12月31日-1月3日
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。