まるごと青森

最後に一食いかがでしょうか?多くの人に愛された味「野辺地駅名物とりめし」

グルメ 特産品・お土産 | 2019-09-21 15:00

青森県野辺地町にある青い森鉄道野辺地駅。この駅には昔から多くの人に愛され続けてきた郷土の味とも言うべき駅弁「とりめし」があります。

このたび、「とりめし」を製造してきた「ウェルネス伯養軒青森支店」が営業を休止することから、今年9月いっぱいで販売を終了することとなりました。

この野辺地駅で、ずっと愛され続けてきた「味」を、皆さんにご紹介します。

○販売以来変わらぬ味「とりめし」

野辺地駅名物のとりめしは、青い森鉄道野辺地駅(野辺地町)の名物駅弁で60年以上の歴史を持った昔ながらの駅弁。ひし形の容器が特徴的で、炊き込みご飯の上に、鶏そぼろや卵そぼろ、鶏肉などが乗っている、昔から東北本線の鉄道客や地元の住民に愛された郷土の味とも言える弁当です。

野辺地駅名物 とりめし
鶏肉に鶏そぼろと卵そぼろ、その上に椎茸煮。左にしば漬けが付いている。

その歴史は古く、昭和27年にまだ物資が豊富ではなかった時代に、仕入れがしやすく比較的リーズナブルな鶏肉を使ったお弁当を作ろうとしたことが誕生のきっかけといわれています。

諸説ありますが、野辺地駅での駅弁として販売することを前提としていた為、シンプルに“野辺地のとりめし”と名付けられたと言われています。

昭和40年頃の野辺地駅 中央に「とりめし」を販売していた伯養軒と思われる建物
所蔵先:野辺地町立歴史民俗資料館
昭和43年頃の野辺地駅
所蔵先:野辺地町立歴史民俗資料館

そんな長い歴史を持つとりめしの味は誕生以来変わっていません。

今現在は書かれたレシピが存在しているそうですが、以前は口頭でのみレシピが長らく伝えられてきたといいます。そのため、以前は製造の担当者が変わる度、3ヶ月ほど味がなじむのに時間がかかったといわれています。

その作り方は、大鍋に鶏肉と県産の醤油、ザラメをいれて約30分程度炊いた後、その際に出る煮汁を使って茶飯を作っているそうです。また、鶏肉は熱した後冷ますことで味を染み込ませる事でしっかりとした味になるそうです。醤油等についても昔から同じものを使用しているので、まさしく昭和27年より変わらない味といえるのではないでしょうか。

昔は駅弁を常温で食べることがほとんど。そのため常温でも美味しく食べられるよう昔ながらの工夫がされています。

実際に食べてみると、鶏そぼろや鶏肉のしょっぱさの中に感じる甘い味付け。そして鶏肉の煮汁を十分に吸った茶飯の旨みがクセになり、どこか懐かしさを感じます。

懐かしさを感じる甘みのある味付けの鶏肉
鶏肉とそぼろ、そして煮汁が染み込んんだ茶飯を一緒に

そのどこか懐かしさを感じる味には多くのファンが。そのファンは50歳から70歳あたりが多く、懐かしんで購入する方も多いと聞きます。

また、販売開始以来根強いファンが多く、これだけを購入するために野辺地駅までこられる方もおり、長らく愛されてきたことがよく分かります。

最近は駅弁ファンを中心として、20代の若いファンも増えてきているそうで、世代を超えて愛される様はまさに「郷土の味」といえるのではないでしょうか。

さらに、駅弁ファンの間で東北を代表する全国区のとりめしと称されることもあるなど、野辺地駅名物として多くの観光客に愛されてきたと感じます。

ちなみにとりめしが1日で作られる個数は多い日で500個程度。1時間で200個程作られ、秒単位では一つ作るのにおおよそ30秒ほど。熟練の流れ作業で次々と製造していきます。

次々と容器に詰められる具材(本来は複数人で分担して行うところを、今回特別に一人で一通り行う様子を撮影させて頂きました。)
手作業で次々と梱包されていきます。
出来立てのとりめし

もちろん夏祭り期間中に買われる方が多いそうですが、他にも盆期間中に買われる方も多いとの事です。帰省で青森県に帰ってきた人たちが、故郷の味を懐かしんで買っているのかもしれませんね。

また、野辺地町にお住まいの方にも地元ファンの中には、お盆等の親戚等の集まりの際にちらし寿司の代用品のような雰囲気で注文される方もいるそうです。特に、大人数用に寿司桶で提供することもあり、寿司桶で提供するとりめしを「とり桶(とりおけ)」と言い、昔からのお客さんが今でも毎年注文されるそうです。

ちらし寿司代わりのとりめし「とり桶」4,000円
とりめし5人前の量。注文は三日前から

○最後に一食いかがでしょうか?「野辺地駅名物とりめし」

いかがでしょうか。地元の方々から観光客まで幅広く愛されてきた「とりめし」。

今後食べることができなくなると思うと、なんだか一口一口が名残惜しく感じます。

ウェルネス青森支店の中村支店長に、今後のとりめしについてお話を聞いたところ、今後イベント等の折に再販となるか含め検討中との事。何らかの機会にもう一度食べることができたら嬉しいですね。

野辺地駅のとりめし。食べるとどこかノスタルジックな感覚になる駅弁を味わえるのは今だけです。

最後に一食いかがでしょうか?

by ひらぱー

ウェルネス伯養軒 青森支店
場所〒030-0803 青森県青森市安方1丁目2−13
TEL 017-723-1894
料金とりめし 800円
とり桶(5人前) 4,000円
Webサイトウェルネス伯養軒

掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

青森の観光・物産・食・特選素材など「まるごと青森」をご紹介するブログ(blog)です。
青森県で暮らす私たちだからこそ知っている情報を県内外の皆様に知っていただく記事をお届けします。

タグ別記事一覧

ねぶた・ねぷた奥入瀬渓流絶景太宰治灯台青森土産きのこ鮟鱇JOMONトーク伝統芸能果物山菜・きのこウニ温泉ジオパーク津軽土産アニメあんこう万年筆えんぶりカフェ・レストラン米・パン・穀物津軽海峡自転車ガイドパッケージ買いクラフト風間浦鮟鱇ステンドグラス建物お酒寿司白神山地周辺津軽弁金魚イベントハンドメイド#郷土料理#青森グルメラーメン野菜居酒屋・バーカレー缶バッジおにぎり海藻唐揚げ#お家ごはん中華料理スイーツ魚介種差海岸まつりカンバッジうにぎりわかめ和栗インバウンド#料理エビチャーハンまち歩き肉・卵十和田湖アクティビティおみやげ岩のりe-sportsスタンプお家でシリーズBUNACO白神山地体験レポート伝統工芸田んぼアートマグロお土産津軽弁缶バッジ寒海苔お盆スーパー植物#だし青森県郷土料理三味線ご当地蔦沼寺山修司カフェ迎え火・送り火ハンコ担々麺#アートアウトドアツアー歴史・文化紅葉新緑八戸ブックセンターコーヒー嶽きみコケシ辛い#青森県立美術館自然アートランチライトアップイルカプリン熱帯魚クリスマス種差#自然グルメ弘前公園陸奥湾おやき焼き鳥グランピング#エビの釣り堀食堂ブナコ弘前城フェリー三社大祭日記雪見温泉月見#釣りヒバ津軽八甲田尻屋埼灯台館花岸壁朝市ポップアナログレコード#手帳鉄道青森岩木山尻屋埼宵宮横丁露天風呂青森県、色彩#桜りんご三内丸山遺跡白神山地毛豆寒立馬美術館最強毛豆決定戦妖怪#食

まるごと青森Facebookページ始めました。
登録がある方はもちろん、ない方も登録して下記ページで「いいね」のクリックして、まるごと青森ブログともどもご愛顧をよろしくお願いいたします。
まるごと青森FBページ

月別記事一覧

月別一覧ページへ