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【あけび蔓細工】自然の温もりと職人の丹念さが編み込まれた、津軽の伝統工芸品

特産品・お土産 青森の人 | 2020-02-12 18:05

 

青森県の伝統工芸品のひとつ、あけび蔓細工。

江戸時代末、岩木山麓の嶽温泉で、湯治客への土産品として、付近の山々に自生するあけび蔓を採取して炭籠・手提げ籠などを作ったのが始まりとされています。

 

さらに時代を遡ると、青森市の縄文時代の遺跡 三内丸山遺跡では、ヒノキ科の樹皮を素材として編んだ小さな袋(通称「縄文ポシェット」)が発掘されています。

写真:三内丸山遺跡センター

工芸品としての始まりは江戸時代末ですが、植物の素材からモノを生み出すスタイルそのものは、1万年以上前の時代から、近世、近代、現代へと受け継がれているのかもしれません。

そんなあけび蔓細工の歴史背景を知りノスタルジックな気分になった筆者は、作品の制作現場をどうしてもこの目で見たくなり、県内の職人のひとりである、竹内あけび工房の竹内啓子さんをたずねました。

 

作品づくりを始めたきっかけ

竹内さんがあけび蔓細工を始めたきっかけは、1991年9月のりんご台風。農業をやっている竹内さんのりんご畑も甚大な被害を受け、農作業ができなくなった時、代わりに始めたのがあけび蔓細工だったそうです。「最初は、近所のおばあちゃんがやっていたのを真似して作ってたね」と竹内さん。

そこから農作業や家事の合間の手仕事として、あけび蔓を使ったかごや小物を作るようになり、本格的に作品を作り始めてからは「もうウン十年!笑」になるそうです。

 

ひとつひとつの工程が、全て手作業

そんな竹内さんの作品づくりの様子をさっそく見せてもらいました。教えてもらったあけび蔓細工(かごの場合)の主な工程は以下のとおりです。

・秋に採れた蔓を一度干して選別する

・干した蔓を水に浸け、蔓の節をとる

・湿った状態の蔓を「底→胴(側面)→縁」の順番で編む

・別に編んだ持ち手をつける

・余分な端を切り、乾燥させ、仕上げる

かごをひとつ作るにも多くの工程があり、それらを全て手作業で行います。

ちなみにあけび蔓は、毎年秋に岩木山麓から採れたものが使われています。

「蔓は湿った状態で編まないと、割れたり、編み目が荒くなったりするの」と竹内さん。また、なるべくまっすぐ伸びた蔓を使うことも、美しい作品を作るための秘訣だそうです。

さらにあけび蔓は100%天然素材のため、蔓1本1本の風合いが異なります。そのため、蔓の節を取るためカンナにかけたり、作品の色合いに合わせて蔓を割いたりと、ひと手間加えてから編みの作業へと入ります。

蔓を割くときは口を使って。職人技が垣間見える瞬間。

 

編みの作業では、このような木型を使います。

工房にはたくさんの種類の木型がありました。全て形やサイズが違うもので、作品のイメージに合わせて使い分けているとのこと。

この木型をあてがいながら、あけび蔓を縦横に編み込んでいきます。

作業中は、「今日の夕ご飯何にしようかなあ?とか、普段の生活のいろんな事考えながら作ることが多いね」と常に自然体の竹内さん。そんなおしゃべりをしながら、あっという間にかごの側面を一周編み上げてしまいました。

編み方は、「みだれ編み」や「なかなか編み」、「よつめ編み」、「こまつ編み」・・・と数え切れないほどの種類があるそうです。縦のあけび蔓の本数を奇数にするか偶数にするかによっても編み目の形が変わるというから、無限のデザインの可能性をもつあけび蔓細工です。

 

伝統を守りながら現代のトレンドにも挑戦する、美しい作品の数々

最後に、いくつか竹内さんの完成作品も見せてもらいました。

複数の編み方が組み合わされ、あけび蔓の自然な風合いが上手く生かされた本当に美しい作品です。

竹内さんは「若い人にもあけび蔓細工に興味を持ってほしい」という思いから、モダンなデザインにも挑戦していて、持ち手をレザーにしたり、カゴの内側にナチュラルな色合いの布をつけたりといったひと工夫をされています。「でもこれは基本があってこそできることだから!」と、新しいことに挑戦しつつも、オリジナルの作り方を大切に守られています。

かごだけではなく、いろんな道具をあけび蔓で作ってしまう竹内さん。工房のあるご自宅では、竹内さんの作った生活用品をいくつか発見しました。

筆者が取材時に座ったいす。かなり昔に作ったもので、座面のくぼみは自然にできたそう。
柔らかな明かりが灯るランプシェード。編み目から漏れる光が美しい。

 

あけび蔓細工は使っていくうちに蔓の色が濃くなったり薄くなったり、自然な色合いが出てくることから、ひとつとして同じものはなく、それが作品づくりの面白いところなんだそうです。「もちろん若い人にあけび蔓を知ってもらいたいけど、まだまだ自分の手で色んな作品に挑戦してみたいね」と竹内さんは語ります。

 

全行程を手作業で行い、とてつもない手間暇をかけて作られたあけび蔓細工。そこには岩木山麓の自然の温もりと、職人の真心や丹念な仕事ぶりがそのまま編み込まれているようでした。

 

おまけ

工房を出るとき、竹内さんの師匠が作ったという小さな手かごを見せてもらいました。その編み目がこちら。

あけび蔓ではなく山ぶどうの蔓を使い、「網代(あじろ)編み」という編み方で作られたそうです。この編み方は、なんと冒頭に紹介した三内丸山遺跡「縄文ポシェット」と同じ!はるか古の編み方が現代にも受け継がれていることを実感しました。

 

竹内さん作品のお取り扱い先

工芸ショップTANAKA (〒036-8182 青森県弘前市土手町24-10)

暮らしのクラフトゆずりは(〒018-5501 青森県十和田市十和田湖畔休屋486)

また来月3月には、東京の「copse(コプス)小森」さんで開催されるグループ展で、竹内さんの作品も展示されるそうです。

 

by ぐき子

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