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Story3緻密な手仕事とその担い手を訪ねる

材料から手づくり。手編み「青森ひばの籠」

「ヒバのカゴ」柴田円治さん

ヒバのカゴ

緻密な木目が光を捉え、まるでそれ自体が輝いているかのようにも見えるから不思議です。
顔を近づければ、森林浴をしているかのようなヒバ特有芳香が漂います。

ヒバのカゴ

薄いテープ状に調えたヒバ材を、一つひとつ手で編み上げたこの籠の作り手は、むつ市大畑地区在住の柴田円治さん。

「ヒバのカゴ」柴田円治さん

40年間勤務した青森営林局ではヒバ試験林を見守ってきたという柴田さんが、製材時に出る端材を利用したいと試行錯誤の末に生み出したのがこの籠。
その技術は「日本の籠の故郷」と称される岩手県一戸町の鳥越出身の父親の手業を見て身につけたものだそう。

いろいろな種類のヒバのカゴ

籠に持ち手を付けたトートバッグや衣装ケースにも使える行李(こうり)など、作品のバリエーションも多数。
世界各国どこを見ても、その土地の気候風土の中で、日々の暮らしを支えている素材で籠は編まれるもの。
柴田さんの籠もまた、青森で生まれるべくして生まれたのかもしれません。

一つひとつ手で編むヒバのカゴ 一つひとつ手で編むヒバのカゴ
一つひとつ手で編むヒバのカゴ

そもそもヒバとはヒノキ科の針葉樹。
青森県の県木にも認定されています。
実は「青森」という県名を、ヒバの「青々とした森がつらなっている風景」からとったものという説も。
国内のヒバは大きく2つに分類され、本州の中部より西の南方系の学名はアスナロ。
青森のヒバは北方系のヒノキアスナロで、北海道南部から栃木県日光市まで分布していますが、その80%以上が青森県の下北半島と津軽地方に集中しています。

一つひとつ手で編むヒバのカゴ 一つひとつ手で編むヒバのカゴ

ヒバの効能①耐久性

ヒバの木の特徴として挙げられるのは、耐久性。
水や湿気にめっぽう強く、他の樹種に比べて驚くほど腐りにくい。
ゆえに、平安時代の代表的な建築とされる中尊寺金色堂を始めとして、全国の神社仏閣の建材として重宝されるのですが、例えば巨大な「千人風呂」として有名な八甲田山の酸ヶ湯温泉など、県内の温泉の湯船や風呂場にも多用されます。

一つひとつ手で編むヒバのカゴ 一つひとつ手で編むヒバのカゴ

ヒバの効能②抗菌性

もうひとつの特徴はヒバに含まれる、抗菌性を持つヒノキチオールという成分。
まな板などの食具に適した木材として重宝されるだけでなく、シロアリなどの害虫に対する殺虫効果や、不快な臭い対する防臭効果、アトピー性皮膚炎やMRSA(抗生物質に抵抗性を持つ黄色ブドウ球菌)に対する効果などの可能性を探るために、各方面での検証も進んでいます。

緻密な木目が光を捉えるヒバのカゴ 緻密な木目が光を捉えるヒバのカゴ

ヒバが材木として使えるようになるまで200〜300年。
北国の厳しさの中で、少しずつ(でも確実に)生きる姿は、どことなく青森県人の精神性や暮らしぶりとも重なるような気さえします。

柴田円治さんの工房

柴田さんの籠はA4ファイルがすっぽり入るサイズで3,500円程度。
手づくり木工館「わいどの木」などでも販売中です。

わいどの木
0175-35-2147 風間浦村易国間大川目6-7
9時-17時(※受付は平日のみ)
メールはこちら
WEBサイトはこちら

太宰治の家もヒバ!

太宰治記念館「斜陽館」

あ、そうそう。
あの太宰治の生家として知られる「斜陽館」も総ヒバづくりです。

太宰治記念館「斜陽館」
0173-53-2020 五所川原市金木町朝日山412-1
WEBサイトはこちら

わいどの木

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