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Story4家畜と共存する暮らしぶりを訪ねる

かつての地域の“名物”が復活。国産ラム肉の新ブランドが生まれる過程を体験できます。

「南部羊」関口博樹 さん

階上町で食用の羊を飼育する堰合勝美さん(写真左)と後継者に名乗りを上げた関口博樹さん(写真右)

写真右が関口博樹さん。
写真左の堰合勝美さんは、階上町で食用の羊を飼育する生産者。

階上羊

環境が羊の飼育に向いていた。

階上羊国産ラム肉 階上羊国産ラム肉の焼肉

太平洋沿岸のこの町はかつて食用羊の飼育が盛んでした。
オホーツク海から吹き下ろす季節風「やませ」の影響で夏場には気温が上がらず、日本海の湿った空気を八甲田山が遮るために冬場は乾燥するという独特な気候が、涼しく乾燥した気候を好む羊たちにとって住みやすい環境だからです。

絶滅寸前!?

最盛期には10軒ほどの農家がサフォーク種と呼ばれる食用羊を飼育していたこともあり、毎年6月に町内で開催される「臥牛山祭り」では、地元のサフォーク種の肉が振る舞われるなど、食用羊は町の人々が大切に繋いできた食文化だったのです。
が、現在、生産者は堰合勝美さんただ一人。

階上町でただ一人の羊飼育者、堰合勝美さん

生産量が少ないために売り先も限られており、寄る年波に羊の飼育を続けることに限界を感じていた堰合さん。
いよいよ羊の飼育にキリをつけようか…という思いが強まってきた2015年春、関口博樹さんが名乗りを上げました。
2006年に関東から八戸市に移住してきた関口さんは、勤務先の産直施設で堰合さんのラム肉の美味しさに出会います。

階上羊
階上羊

堰合さんが階上町最後の羊の生産者で、なおかつ後継者がいないという現状を知ったのは2015年の春。
新聞記事を読んだのです。
羊肉食は階上町ならではの暮らしの文化。
それを絶やしたくないと思いました。
そしてかつての“名物”を復活させることで階上町を元気にしたい。
堰合さんが愛を込めて羊を育ててきたその方法を受け継ぎたい…

階上羊 階上羊

そんな思いが燃料となって、関口さんはNPO法人 「階上フロンティア」を設立。
町営のスキー場だった土地を借り、羊の畜舎を新たに建設したうえで、夢の実現へと一歩を踏み出しました。
わずか14頭からスタートする食用羊の飼育が、南部地方ならではの暮らしに根ざした食文化を域外の人々に伝える日は、思いのほか遠くないのかもしれません。

階上羊

階上フロンティア 八戸市売市鴨ヶ池32-4
090-7553-9726

階上フロンティア

階上フロンティア
八戸市売市鴨ヶ池32-4
090-7553-9726

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