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Story4家畜と共存する暮らしぶりを訪ねる

実は青森、馬だらけ。

馬にまつわる伝統工芸(きみがらスリッパ/八幡馬)

馬を描いた「絵馬」

古くは平安時代から名馬の産地として名を馳せた、青森県の南部地方。
名馬の産地として全国から羨望を受け続けてきた歴史もあるため、馬を丁重に扱い、馬に感謝するという精神が育まれたのかもしれません。
そのため、南部地方の暮らしぶりを眺めてみると、いたるところで“馬”と出合うことになるのです。
祭り、神事、芸能などの伝統行事はもちろんのこと、玩具や工芸や郷土の菓子など庶民の暮らしぶりの中にも“馬”の面影が。
最近では、馬をテーマにした現代アートやゆるキャラなども増殖中で、馬にまつわるコンテンツが無尽蔵。
“馬”を入口にして旅することで、南部地方の暮らしぶりが一歩身近かに感じられるのではないでしょうか。

多くの文豪が感動した絶景も、実はかつては馬の放牧地。

種差海岸

例えばここ。
種差海岸。
どこかの天体から人がきて地球の美しさを教えてやらねばならないはめになったとき、一番にこの種差海岸に案内してやろうとおもったりした 視界を埋め尽くすほど広大な芝生の絨毯の向こうで、太平洋の海原が青く輝く…。
そんな絶景を目にした時の司馬遼太郎の感想が、名作『街道をゆく』の中に残っています。
古くからの名馬の産地だったこの地方では、海岸部でも馬の放牧が行われ、馬が踏みしめ草を食むことで草原が維持されていたとも。
訪れた人々と馬とが混在しているという光景は、1965(昭和40)年ごろまで種差海岸の風物詩でもありました。
ニッコウキスゲや水芭蕉など、関東以西なら標高1000〜2000mで咲く高山植物が、海抜0m付近で自生しているこの海岸は、季節ごとにさまざまな表情を見せてくれます。

種差海岸インフォメーションーセンター 八戸市鮫町棚久保14-167
0178-51-8500 
9時-17時(12から3月は〜16時) 年末年始休
WEBサイトはこちら

馬のエサがグッドデザイン賞!?

きみがらスリッパ

足の甲まですっぽり包む丸みを帯びたフォルムと、網目をうまく使ったチェック柄とが、ともにキュートなこのスリッパ。
「きみがらスリッパ」と呼ばれています。
「きみがら」とは青森の言葉で「とうもろこしの皮」のこと。
国内有数の馬の産地として名を馳せた十和田地方は、馬の飼料であるデントコーンも大規模に栽培。
大量に残るとうもろこしの皮がもったいない…ということで誕生したのが、このスリッパです。

きみがら」とは青森の言葉で「とうもろこしの皮」のこと

作り手は「十和田きみがらスリッパ生産組合」のお母さまたち、約10名。
とうもろこしの皮を捨てるのはもったいないと、スリッパを編み始めたのが戦後間もない1940年代後半のことだそう。

作り手は「十和田きみがらスリッパ生産組合」のお母さまたち

馬の飼料としてのデントコーンの役割こそ今ではなくなってしまいましたが、現在はきみがらスリッパの材料としてデントコーンを組合で栽培。
毎年10月下旬にとうもろこしを収穫し、その皮を剥いで2週間ほど乾燥させ、長さや厚さを区別してスリッパのパーツごとに4種類に選別。
材料の準備が整う11月中旬からスリッパの製造が始まり、3月まで続きます。
すべて手編みのため「熟練のお母さんでも1日に一足仕上げるのがやっと」だと教えてくださったのは、組合長の三畑よしえさん。
「もったいない」から始まってキュートな日用品を生み出すという、南部地方特有のものづくり精神はここでも生きていました。

すべて手編みのきみがらスリッパ

空気を履いているような軽さと、夏は涼しく冬は暖かいという素材力が、このスリッパの機能を支えています。
ちなみにこのカラーリングはGOOD DESIGN賞を受賞。
サイズはS/M/L/LLの4種展開。
サイズごとに価格が異なり、1836円から。

空気を履いているような軽さと、夏は涼しく冬は暖かい、きみがらスリッパ

十和田きみがらスリッパ生産組合(事務局:十和田市農業政策課十和田産品販売戦略室)
0176-51-6743
9時-17時 土日祝休
※毎月第3日曜日に実施中の「きみがらスリッパの製作体験・実演」は
「道の駅とわだ」(0176-28-3790 十和田市大字伝法寺字平窪37-2)に併設された「匠工房」にて。要予約

伝統工芸を自由に彩色。馬がメディア化しています。

赤・黒・白の3色を巧みに使いこなした八幡馬

鎌倉時代から南部藩の総鎮守として尊崇されてきた櫛引八幡宮に奉納される馬を象ったものが八幡馬。
本来の八幡馬の柄は、赤・黒・白の3色を巧みに使いこなし、南部地方の結婚式で嫁入りの際に新婦が乗った馬の装飾を模したものです。

ナタ一本で仕上げる「鉈彫り」という伝統的な技法

八幡馬のつくり方には、ナタ一本で仕上げる「鉈彫り」という伝統的な技法もあり、青森県芸術文化褒章などを多数受賞している大久保直次郎さんなど、数名の職人さんが活躍しています。

株式会社八幡馬代表、高橋利典さん

高橋利典さんが代表を務める株式会社八幡馬は、より多くの人に八幡馬を知ってもらいたいという想いで、昭和29年に設立され、観光土産品として八幡馬をつくり続けてきました。

一つひとつ手作りでつくられる八幡馬

その工程は今でも一つひとつ手作業。
角材から大まかに馬の形を切り出した後、表面をノミで整え、仕上げに小刀で面取りをし、最後に彩色してようやく完成。
伝統的な柄は黒・赤・白を使い彩色されます。

一つひとつ手作りでつくられる八幡馬

今ではグラフィックデザイナーとのコラボレーションなどにも積極的。
「八幡馬」をキャンバスに見立てて、自由に彩色するワークショップなども定期的に開催しています。
最近は白木のまま目と鼻と口だけ彩色するタイプや、ポップなデザインの八幡馬も人気。
中にはカモフラージュ柄の彩色でオーダーが入ることもあるのだとか。

八幡馬は、白木(21cm)5508円、オリジナル八幡馬白(15cm)7020円

写真の八幡馬は、白木(21cm)5508円、オリジナル八幡馬白(15cm)7020円

株式会社八幡馬 八戸市沼館2丁目5-2
0178-22-5729
8時-17時 日祝休(土は不定休)
WEBサイトはこちら

最後にもう一度絶景を。
馬がこの芝生を食んでいた風景を思い浮かべてみてください。

種差海岸
種差海岸インフォメーションーセンター

種差海岸インフォメーションーセンター
0178-51-8500
 八戸市鮫町棚久保14-167
9時-17時(12~3月は〜16時)
年末年始休
WEBサイト

十和田きみがらスリッパ生産組合(事務局:十和田市農業政策課十和田産品販売戦略室)

十和田きみがらスリッパ生産組合(事務局:十和田市農業政策課十和田産品販売戦略室)
0176-51-6743
9時-17時 土日祝休
※毎月第3日曜日に実施中の「きみがらスリッパの製作体験・実演」は「道の駅とわだ」(0176-28-3790 十和田市大字伝法寺字平窪37-2)に併設された「匠工房」にて。要予約

 株式会社八幡馬

株式会社八幡馬
0178-22-5729
八戸市沼館2丁目5-2
8時-17時
日祝休(土は不定休)
WEBサイト

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