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Story54つの海に囲まれた唯一無二の海産物を訪ねる

浜の暮らしは市場でわかる。

浜の市場文化

八戸市は、漁業、工業、商業の港として稼働し続ける“浜文化”の中心地

「ヤマ(山)」と呼ばれる南部地方の山間部に対して、沿岸部は「ハマ(浜)」と呼ばれます。
特に八戸市は、漁業、工業、商業の港として稼働し続ける“浜文化”の中心地。
早ければ、深夜の2時から始まるという八戸の浜の朝。

「イサバのカッチャ」佐々木留美子さん

ようやく一日を終えようという人もいるかもしれない時間から稼働する浜特有の活気は八戸の名物のひとつですが、そのエンジンは間違いなく佐々木留美子さんのような「イサバのカッチャ」と称される人たち。
浜を代表する働き者「イサバのカッチャ」の暮らしぶりを少し覗いてみましょうか。

イサバとは「五十集」と書いて「品物が集まる場所」つまり「市場」のこと、そしてカッチャとは「お母さん」

イサバとは「五十集」と書いて「品物が集まる場所」つまり「市場」のことです。
そしてカッチャとは「お母さん」。
しかし単なる“市場のお母さん”たちではありません。
圧倒的な働きぶりで地元経済を下支えし、ひたむきな生き様で町を元気にしている女性たちの総称。

で、どのくらい働き者なのか? というと午前2時に起床してから就寝するまでほぼ働いている! というぐらい。
そして、どのぐらい町を元気にしているのか? というとカッチャめあての県外からの観光客が絶え間ない! というぐらい。
どれだけファッションが独特なのか? というとイサバのカッチャになりきる「イサバのカッチャコンテスト」なるイベントが毎年10月上旬に開催される! というぐらい。
その独特なファッションが注目を受けていたりもするのです。
…そう、浜の文化を牽引しているのです、イサバのカッチャは。

イサバのカッチャ、ファッションチェック!

割烹着に身を包み、長靴を履き、カゴを背負い、頭にはほっかむり…。
色や柄や材質こそバリエーションがあるけれど、イサバのカッチャのファッションの方向性は、南部地方の暮らしぶりの特徴とみごとに一致して「機能」に集約されています。

イサバのカッチャ、ファッションチェック! イサバのカッチャ、ファッションチェック

“市場で働く”ことを貫き通したイサバのカッチャの機能美をちょっとだけまとめてみると、こんな感じ。

イサバのカッチャの機能美をちょっとだけまとめてみると、こんな感じ

ほっかむりはウール製

ほっかむりはウール製 ほっかむりはウール製

耳や首を寒さから守るという機能が支持され、マストアイテムに。
サイズは大小2通り。 人気は大きい方の78cm✕78cmサイズで、ウール製が俄然人気だそう。
人気は暖色系の派手な色。
自ら手編みするケースも。

「V」ネックが人気の割烹着

「V」ネックが人気の割烹着 「V」ネックが人気の割烹着

水濡れや魚の汚れから衣服を守るために皆が着用。
腕まくりしやすいように袖はゴムのリブ付きで、襟は「V」ネックのほうが苦しくない。
「生地は乾きの早い化繊で、細かな小紋の花柄、着丈は80-85cmが売れ筋」(河村呉服店)とか。

背負カゴはバックパック顔負けの機能性

背負カゴはバックパック顔負けの機能性

売り物や商売道具を運ぶために欠かせない商売道具。
この上に発泡スチロール箱を3段ほど積んで背負うケースも。
竹で編んだものが多く、裏側に布を貼って補強するという進化系も。
ちなみに肩パッドはオプション。

長靴はスパイク付きがマスト

長靴はスパイク付きがマスト

水だけでなく寒さからも守ってくれる機能的な長靴。
「特に中が蒸れにくい裏張り素材のタイプが人気」(靴のミウラ)とのこと。
1足7000円から9000円ほどと高価だが、商売道具に妥協は不要。
冬用はソールにスパイク付きがマスト。

八戸市営魚菜小売市場(陸奥湊駅前朝市) 八戸市湊町久保38-1
0178-33-6151
3時〜17時(頃) 日、第2土、1/1〜2休

イサバのカッチャコンテスト事務局(靴のミウラ)  八戸市湊町柳町1-5 
0178-33-1492
6時〜17時 日休 
担当:三浦辰男さん

イサバのカッチャたちが闊歩する陸奥湊で、 浜ならではの暮らしぶりを体験。

「陸奥湊駅前朝市」の中心となる「八戸市営魚菜小売市場」

「陸奥湊駅前朝市」の中心となるのが「八戸市営魚菜小売市場」。
早朝3時から営業が始まり、イサバのカッチャたちが季節の鮮魚や手作りの惣菜を販売します。
「威勢がいい」といわれるイサバのカッチャですが、みなさん声をかければ朗らか。

極上の朝ごはん

極上の朝ごはん

ヒラメにマグロに、鮮度抜群なイカなどなど…。
店頭に並ぶ、200〜300円程度の刺身のパック(6〜10切れ入り)を購入し、市場に併設された食堂でご飯と味噌汁(各100円)を調達すれば、浜の暮らしぶりを堪能できる素敵な朝ごはんに。

日本一早く開く観光案内所

日本一早く開く観光案内所

JR八戸線陸奥湊駅前に佇むここは「日本一早く開く(?)観光案内所」。
地元の60〜70歳代の有志が入れ替わり立ち替わりして、珈琲や果物で旅人をおもてなし。

イサバと朝市の陸奥湊観光案内所 八戸市湊町久保44
6時〜12時 日休

漁網でカラダを洗う(?)早朝銭湯

早朝銭湯「卵湯」

八戸市内で営業する銭湯は34軒(2015年1月現在)。
早朝から開いている銭湯が多いのは、朝の早い港や市場で働く人々の暮らしのサイクルに合わせたゆえ。
どうやら八戸の銭湯は、浜で働く人々にとことんまで寄り添うのが流儀のようで、例えば、八戸市の中心街からもほど近い柏崎地区で60年以上も漁師たちを芯から温めてきた「卵湯」を覗いて見ましょう。

風情たっぷりのレトロな下駄箱

いきなり出迎えてくれる、風情たっぷりのレトロな下駄箱をはじめとして、インテリアが個性的すぎ…。
成分表に目をやれば、ちゃんとした温泉(泉質はナトリウム泉)であることもわかります。

個性的なインテリア

温泉水で洗うため、汚れがよく落ちると評判のランドリーも、長期の船上生活の合間に利用する船乗り達にはすこぶる便利なことでしょう。

温泉水で洗うため、汚れがよく落ちると評判のランドリー

漁師のアカスリは漁網!

漁師のアカスリは漁網

八戸市内の銭湯の脱衣所で頻繁に見かけるのがこれ。
漁網です。
…そう、中には漁網をアカスリ代わりにしたいという漁師さんもいらっしゃるようで(汗)、訊けば「泡立ちも良いし、適度な刺激もあるので、洗い上がりの“仕上がり感”は抜群」なのだとか。
中心市街地の指定ホテルを出発し、朝市と銭湯を巡る乗り合いタクシーサービス「八戸あさぐる(800〜1200円)」も用意されています。
八戸の朝風呂文化をぜひご堪能あれ!

八戸中央温泉卵湯 八戸市柏崎5丁目1-17
0178-46-0383
5時半~22時

港に寄り添う老舗酒蔵

港に寄り添う老舗酒蔵「八戸酒造」

八戸酒造の創業は1775年。
陸奥湊駅前朝市からもほど近い港に面した立地で、240年もの長きにわたって、港の人々の晩酌の時間を支えている酒蔵です。
創業以来のブランド「陸奥男山」は辛口系。
港で働く人々から熱く支持されています。
いっぽうここ数年は9代目の駒井秀介さんが手がけた「陸奥八仙」が主力銘柄。
5種類の定番商品は、どれも香りが華やかで、お米のうま味と爽やかな甘味を兼ね備えた味わい。
フルーティで飲みやすいので、女子にも人気。
最近は八戸の飲食店ならほぼ必ずと言ってもよいほど「陸奥八仙」を愉しめます。
「陸奥男山」が無いと始まらない八戸の浜の男たちの晩酌の様子に思いを馳せながら「陸奥八仙」のグラスを傾ければ、ちょっとだけですが、浜の暮らしの一端に触れる気分も味わえるかも。
八戸酒造では、酒蔵見学を常時受け付け中で、日本酒をチビチビしながら屋形船で八戸港を巡るサービスも。
ともに予約は電話もしくはメールにて。

八戸酒造の酒蔵見学の名物ガイド、宮本則男さん

宮本則男さんは八戸酒造の酒蔵見学の名物ガイド。実は本職は経理です。笑。

八戸酒造 八戸市湊町本町9 
0178-33-1171
10時〜16時 土日祝休
(酒蔵見学の所要時間は30〜60分、見学料は1名500円)
※11月〜3月の酒造期のうち吟醸仕込みの時期は見学できません

浜の暮らしは市場で分かる! 来場者は毎週1万人以上!? 巨大朝市で南部地方を俯瞰する。

浜の暮らしは市場で分かる! 来場者は毎週1万人以上!? 巨大朝市

日本を代表する漁港、国内屈指の工業港&国際貿易港を抱えているため、人の出入りがとかく激しい八戸の街。
情報も行き交えば、文化も交錯するというわけで、この街はまさにコスモポリス。
当然ながら経済だって港を中心に動く…というわけで、市場を訪れれば、浜ならではの暮らしの文化を間違いなく体験できることでしょう。

冬季を除く3月中旬から12月にかけての毎週日曜日に開催される「八戸館鼻岸壁朝市」

冬季を除く3月中旬から12月にかけての毎週日曜日に開催される「八戸館鼻岸壁朝市」は、まさに八戸の湊町ならではの暮らしぶりに触れられる絶好の機会です。
なんと毎回の来場者は1万人以上ともいわれるこの朝市は、南部地方の地元の人々が普段使いする暮らしに根付いた市場。
全長800mの岸壁には、300以上の店舗が立ち並びます。

八戸館鼻岸壁朝市 八戸館鼻岸壁朝市 八戸館鼻岸壁朝市

海産物はもちろんのこと、野菜や果物、山菜やきのこなどのほか、八戸せんべい汁を始めとした惣菜や、コーヒーや生ジュースを味わえる屋台も。
南部地方の山の暮らしと浜の暮らしとをともに体験できるショウケースと表現しても過言ではありません。

八戸館鼻岸壁朝市 八戸館鼻岸壁朝市 八戸館鼻岸壁朝市 八戸館鼻岸壁朝市 八戸館鼻岸壁朝市 八戸館鼻岸壁朝市 八戸館鼻岸壁朝市

ピークは朝の6時から7時にかけて。
9時過ぎには片付けが始まりますので、早起きしてお出かけください!

八戸館鼻岸壁朝市 協同組合湊日曜朝市会 
0178-27-3868
午前3時(日の出)~9時頃 毎週日曜日開催(3月中旬〜12月) 
WEBサイトはこちら

八戸市営魚菜小売市場

八戸市営魚菜小売市場
(陸奥湊駅前朝市)
八戸市湊町久保38-1
0178-33-6151
3時〜17時(頃)
 日曜、第2土曜、1月1、2日 休

イサバのカッチャコンテスト事務局""


イサバのカッチャコンテスト事務局
(靴のミウラ)
八戸市湊町柳町1-5
0178-33-1492
6時〜17時 日休
担当:三浦辰男さん

イサバと朝市の陸奥湊観光案内所

イサバと朝市の陸奥湊観光案内所
八戸市湊町久保44
6時〜12時 日休

八戸中央温泉卵湯

八戸中央温泉卵湯
八戸市柏崎5丁目1-17
0178-46-0383
5時半~22時

八戸酒造

八戸酒造
八戸市湊町本町9
0178-33-1171
10時〜16時 土日祝休
(酒蔵見学の所要時間は30〜60分、見学料は1名500円)
※11月〜3月の酒造期のうち
吟醸仕込みの時期は見学できません

八戸館鼻岸壁朝市

八戸館鼻岸壁朝市
協同組合湊日曜朝市会
0178-27-3868
3時(日の出)~9時頃
 毎週日曜日開催(3月中旬〜12月)
 WEBサイト

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