本州最北端の青森県。都市圏から遠く離れたこの土地には、固有の気候風土に根ざした独特な文化や風習、そして産業が脈々と受け継がれ、青森ならではの暮らしぶりとして色濃く残っています。
いわば文化的なガラパゴス。
「食」や「手仕事」「祭り」など、衣食住のあらゆるシーンで目にするのは、長年の間、本州の端っこで独自に受け継がれてきた、ある意味特異な暮らしぶりです。
そして、地元では当たり前だと思われている普段の暮らしぶりが、外から眺めると非日常的だからこそ、観光の対象として輝き始めているのではないでしょうか。
県外から訪れるみなさんに「青森の暮らしぶり」と出会っていただくという新しいカタチの旅に欠かせないのは、県内で暮らしを営む地元の人たちだと考えています。
郷土料理に舌鼓を打つだけでなく、その食材や料理の担い手と接すること。
伝統工芸品ではなく、その作り手と出会うこと。
祭りを鑑賞するだけでなく、それらを企画し運営する人たちと盃を酌み交わすこと。
青森で暮らしを営む人たちから、独特ではあるものの実に豊かで魅力的な(そして思わずマネしてみたくなってしまうような)暮らしぶりが立ち上がる様子を、ぜひ体験していただきたいのです。
それらに触れることで、地域が単なる旅先から心に残るストーリーへと昇華し、旅の文化度と満足度が飛躍的に上昇するダイナミズムを味わってください。
そして何かのきっかけに気付いていただきたいのです。
「あの人たちは達者だろうか?」と何の気なしに思いを馳せているご自身の心に。
青森県は、県内各地で暮らす人たちが「観光の主役」として活躍する状況を生み出すために、2013年から3年間にわたり準備を進めてきました。
プレイヤーやコーディネーターのネットワークづくりにはじまって、現地着地型のツアーの商品化に向けて、県外からの旅行者を受け入れてくれる地元の人たちをアーカイブしてきました。
ここ数年、都市部には帰る実家はあっても、そこに「故郷」はない「故郷不足」な人々が顕在化しています。
そんな人々は、青森県だけでなく、全国の各地域の潜在的なファンであるはず。
そこで「故郷が無いことで人生を少しだけ損しているのではないか?」という問題を投げかけ、青森県が受け皿となって「故郷」を提供することで、新たな価値と市場を生み出します。
その延長線上で、青森県のファンが一定の〝層〟となって立ち現れることを願っています。
県外在住の青森県出身者は青森に帰ることを「帰青」と表現します。どなたでも、まるで「帰青」したかのような感覚を味わえる新しい旅を、大切に展開していきたいと考えています。