うまみと風味で114年 甘精堂の「昆布羊羹」
本日、東京神楽坂の「赤城神社」の宮司さんと打ち合わせをするということで、初めてのご挨拶に青森から何を持っていこうかな、といろいろと相談をしていました。
青森らしく「りんご」に関係する菓子、それとも神社なのでお酒かな、とかいろいろと意見が出る中、今回持っていったのが「昆布羊羹」。
青森市は戦災などもあり、古い時代を忍ばせる町並みがない都市ではありますが、「昆布羊羹」を作り続ける甘精堂さんは、創業明治24年の青森市の老舗です。
「昆布羊羹」は、青森県はもともと良質の昆布が採れていましたが、こんなに豊富に採れる昆布を使って北国らしいお菓子を作りたい、と2代目の永太郎さんが考案したものだそうです。永太郎さんは試行錯誤の末、昆布をパウダー状にして羊羹と練り込む方法に成功しました。
味もさることながら、今でこそ、いちご大福、バナナ最中、しじみソフトなど奇抜な組み合わせの商品は珍しくありませんが、当時、この組み合わせは奇抜であり、そのアイディアはみごとなものでした。
その後も昆布羊羹の味を探求し続け、昭和30年には、全国菓子観光大博覧会でその味は最高賞の「名誉総裁賞」を受賞し、高い評価を勝ち取ります。
単に昆布を羊羹に練り込むだけでは、昆布特有の生臭さが残ったり、逆に昆布の風味が出なかったりします。甘精堂の長い時間をかけた味づくりと探求心があればこそ昆布のよいところだけを羊羹に練り込めたのです。
赤城神社は神楽坂の歴史を見守り続け、地域の人たちの心の拠り所なんですよ、と聞き、ならば気の遠くなるような時間を味への探求にかけ、その試行錯誤が結実した「昆布羊羹」を届けたい、そんな気持ちのご挨拶にしよう、なんて思い、今日はこれにしました。 byなおき
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