先日、これまで一緒にやってきた仲間の一人「N」氏が、今の会社を辞め独立することになった。一城の主となる彼に何か贈り物をしようと、”まるごと青森チーム”であれこれ考え、青森らしさのあるステーショナリーが良いということになり、津軽塗りマウスを贈ることに決めた。
津軽塗は、青森県弘前市を中心に作られている、
堅牢・優美な漆器の総称。
唐塗、ななこ塗、錦塗、紋紗塗という4つの技法があり、
すべての技法において漆を数十回塗り重ね、研磨仕上げを施すという
三百年以上変わることなく受け継がれてきた伝統技術であり、
故に津軽塗は模様であり、塗りであるといわれている。
ネットで少し調べてみると、「遊工房」というところで作っているマウスに目が留まった。
「黒華(こっか)」と名付けられたそのマウスは重厚麗美で、マウスの曲面が黒く鈍い輝きを放ち、マウスの域を超えたその美しい姿に私は一目惚れした。ということで贈り物はこれに決まった。
このマウスは津軽塗りの中でも「紋紗塗」という技法を用いて仕上げられている。艶消しの黒地に、艶のある黒漆の模様が施され、光線のあて方で見え隠れする渋い塗である(個人的には一番好きな津軽塗りである)。残念ながら津軽塗りマウスを自分では使ったことがないので、その使用感こそ分からないが、M社の純正製品であるから問題はないはず。惜しむらくは、これにピッタリのマウスパッドがないこと。純和風素材のマウスパッドがあれば最高だったろう。
今の世の中PCと無縁な仕事などは一つもない。新たな人生を歩み始める「N」氏のいくつもの重要な局面で、このマウスは重要なクリックしていくのかと思うと、まるで高級万年筆を贈ったかのように、最高の贈り物だったと思えてしまう。「津軽塗りマウス」はそんな気持ちにさせてくれる一品だ。
YOSHIHITO
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。