旧中里町(現中泊町)の特産品にハトムギがあります。
なんだ、ハトムギか・・・。
と思うでしょうが、ここのハトムギはそんじょそこいらのハトムギとはひと味違うんです。
そもそもハトムギは東南アジア原産の一年生草本。
インドや東南アジア、中国ではは古くから栽培されており、食用や薬用に広く用いられていたようです。日本には加藤清正が朝鮮半島から持ち帰ったという説や中国の高僧鑑真和上が伝えたという説があり定かではありませんが、滋養強壮や消炎、鎮痛、美肌効果が高い漢方薬として古くから知られていたのは確かです。
人類史上有用植物には「品種改良」がつきものですが、このハトムギは米などと違って主食ではなかったため、昭和50年代半ばまで品種改良はほとんど行われてきませんでした。それぞれの地域に適した生態型をもつようになった系統が在来種となって各地で栽培されていただけなのです。しかし、転作作物として注目されるようになり、健康ブームで消費も伸びた昭和50年代、全国の在来種を基にしてたくさんの新品種が誕生します。
ここ旧中里町(現中泊町)の福浦地区で昔から栽培されてきたハトムギこそ国内を代表する在来品種「中里在来(なかさとざいらい)」なのです。ハトムギづくり50年の大ベテラン塚本さんは、一時は手間がかからない国の育成品種へと転換を試みたようですが、どうやっても「中里在来」の風味に勝るものではなく、やはりまた「中里在来」の栽培に立ち返っています。
お茶にすると違います!
塚本さん曰く、風味の違いはお茶にするとよく分かるとのことで、ハトムギ茶はやっぱり「中里在来」に限るのだとか。ハトムギ茶の作り方はいたって簡単。炒った殻つきのハトムギ30グラムを1リットルの水に入れ、沸騰するまで強火にし、その後はやや弱火にして30分くらい煎じるだけ。それを一日数回に分けて飲むと肌のトラブルだけでなく、リウマチや神経痛もよいのだそうです。
先月、ハトムギ茶を買おうとあちこち探し回り、しまいには生産者にまで電話をしたのですが、人気が高いようで売り切れのため入手できませんでした。そろそろ今年のハトムギでつくったお茶が出回る頃でしょう。
by義人
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