青森が北限と言われる柿は貴重な日本原産の果物。
甘柿の「富有(ふゆう)」や渋柿の「平核無(ひらたねなし)」、「刀根早生(とねわせ)」が有名で、産地としては和歌山、福岡、奈良などが知られていますが、全国には地方特有の在来種がたくさんあるようです。
県内の柿産地である南部地方で昔から栽培されるのは、南部ガキとも呼ばれる「妙丹(みょうたん)」。高さ5~6㎝の長円形で重さが70~80グラム、タネがほとんどできない小形の渋柿です。
妙丹柿は、脱渋して生でも食べますが、その持ち味は何といっても干し柿。竹串に刺して吊す独特の方法で、もともと味が濃厚な妙丹柿をじっくり自然乾燥させるので、やさしいのに深みがある、何とも言い表しがたいおいしさになります。
そして、その味以上にすばらしいのは妙丹柿のある景色。
南部地方の妙丹柿は高さ十メートルを超す老木が多く、実りの頃は里山全体が橙色に染まるのです。晩秋の陽光に輝く妙丹柿は実に見事で感動を抑えられません。ニッポンの原風景として大切に守っていきたい貴重な空間だと私は思います。
おすすめのビュースポットは名川町の鳥舌内地区。収穫が始まっているので、この景色を楽しめる期間はそう長くはないはずです。大豊作の今年だからこそ、妙丹柿のあるすばらしい風景を是非味わっていただきたいと思います。
ちなみに、生の妙丹柿は今でも、干し柿は12月以降、同町チェリーセンターで手に入れることができます。 by 義人
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