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大正時代の面影残す「旅の宿」 蔦温泉

大正時代の面影残す「旅の宿」 蔦温泉

温泉・宿泊 | 2005-11-22 19:25

850年の間、湧き続ける湯は、心も洗う。

大正時代の面影残す「旅の宿」 蔦温泉

南八甲田の山合いにひっそりと佇む一軒宿「蔦温泉」。
歴史への登場は、今を去ること850年前、1147年(久安3年)です。
この写真は、大正7年に建設された当時の本館の様子を写し出したもの。
茅葺き屋根は葺き直され、その後、数々の増改築を経てはいますが、あの頃と何ら変わりのない風情は、今も残ります。
そんな蔦温泉。
人里より離れ、不便を楽しみ、自然と同調できる場所として古くから親しまれています。

大町桂月が広く世に広め、吉田拓郎が謳う「宿」

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明治41年8月、青森県出身の人物評論家 鳥谷部春汀の案内で十和田湖の帰途一泊した文豪 大町桂月は、この後、大正の後期から本籍を移し、死去する大正十四年までの間、「蔦温泉帖」などを執筆するほど、蔦温泉をこよなく愛しました。
教科書にも登場した大町桂月の名声と共に、蔦温泉は広く世に知られる温泉となります。

そして、時は流れ、1972年(昭和47年)。この年の大ヒット曲となった「旅の宿」を吉田拓郎が歌います。
この曲は、作詞した「岡本おさみ」氏が当時、蔦温泉に宿泊した時をモチーフに詩を作ったものなのだそうです。
昭和50年代前半までは蔦温泉には、それぞれの部屋に火鉢が入っていました。
当時、熱燗の注文があると常温の酒を徳利に入れて客室に運び、火鉢の上に置かれていた小さな湯鍋にそれを入れ、お客様のお好みで燗をしていました。
「旅の宿」にはそのことを忍ばす歌詞があり、当時の旅情をそのまま映し出しています。

鄙びた山の温泉場「蔦の湯」 

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蔦温泉には2つの浴槽があります。
どちらも20年毎に立て替えられ、新しい方を新湯、古くなった方を元湯と呼んでいましたが、立て替えられるたびに浴槽の呼び名が変わってしまうことから、今では「久安の湯」「泉響の湯」と呼んでいます。
「久安の湯」は湯壺から沸き出す湯が溢れ床を流れ、長い間で落ち着いた風合いの色に変わったまさに山間の湯です。
蔦温泉の湯は、浴槽の床に敷いている床板と床板との隙間から湧き上がっています。浴槽を見つめていると時々泡が床下から上がってくるのでそれは確認ができます。湧き上がる湯は浴槽から溢れ出し、床板を伝わり贅沢に流れています。
小さな洗い場には昔懐かしい湯桶が置かれ、湯治場であった頃の面影を残しています。
硫酸塩泉の単純泉で、無色透明、無味無臭ですが、温度は47℃~51℃と比較的高いお湯が湧き上がっています。このため、浴槽の下が熱く、上がちょうどいいような温度です。このままでは熱いという方のために水が少し出ています。
浴槽のお湯は5~6時間ほどで入れ替わるということ。
真新しいお湯に浸かりたい方は真夜中の入浴がお勧めです。

寒くなってくると恋しくなるのが、「湯」。
じっくりと「湯に浸かり」、「心も洗う」。
そんな気持ちにさせてくれる「蔦温泉」でした。 byなおき

タグ: 十和田市南部

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