温湯温泉は420年前に始めて湯小屋が建てられた言われる、古くからある湯治場です。”温湯(ぬるゆ)”の名前は、温もりを長く保つことからついたもので、その名前が示すとおりしっかりと優しく体を温めてくれます。鶴の傷癒し伝説があることから”鶴の名湯”とも呼ばれ、毎日たくさんの人がこの湯に心と体を癒しにやってきます。
温泉街の入り口には一昔前のアーケードがあり、ここを入ると「ああ昔の街並みのままだ」と感じてしまう、明らかに”平成”ではない雰囲気がこの街には漂っています。少し進むとこの温泉街の中では巨大と思えてしまう木造建築物があります。そこが大正時代に建てられた”飯塚旅館”です。
飯塚旅館の魅力を一口で伝えるのは難しいですが、個人的には、必ずしも快適ではないところに心地よさがあることです。古い建物ですから隙間風もあるし、暖房もそれぞれの部屋の石油ストーブ、真冬だと廊下に出ると凍えるように寒かったりもします。だが、それが良い。寒ければ風呂に入ればいいじゃないか。密閉されて快適な建物にはない心地よさは必ず感じるはずです。
温湯温泉共同浴場の目の前にあり、もともとは内湯を持ちませんでしたが、共同浴場の建て替え休業の際にヒバ造りの内湯もできました。共同浴場も大人1人180円と非常に安く、自分の好みで好きなだけお風呂を楽しむことができます。料理は豪華とは言えないものの丁寧に作られた田舎料理は逆に嬉しく思えます。
目的がある旅の宿泊先としてではなく、何もせずに、ただそこに居るために泊まりたい。そんなお宿です。by YOSHIHITO
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