真冬並みの厳しい寒さが続く県内。いよいよ干しもち作りが始まります。
今や買うものとなってしまった干しもちですが、昔は、どこの家でも干しもちを作っていたものです。話を聞けば、各家庭に”干しもち奉行”がいて、天候(寒気)をにらみ、勘を働かせながら、干しもち作りを始めたものだとか。農作業のこびるや子供のおやつに欠かせないものだった干しもちの出来不出来は、どの家庭にとっても大変重要なことだったようです。
干しもちの作り方
干しもち作りは準備から仕上げまで約2ヶ月かかります。まず、水を普通より多く入れてついたモチに、砂糖や塩で味をつけ、ゴマやシソなどを入れてさらによくつきます。それを折板に入れたまま三、四日置き固め、切ったもちを藁などで編んで連にします。
ここまでも大変ですが、これから先はさらに大変。よくしばれた日を選び、夜遅く、もちの連を一つずつ水にくぐらせて戸外に吊し、一気に凍らせます。そして翌朝、朝日が出ないうちにムシロで覆って一月以上干しておくのです。
明け方まで続く干しもち作りは、寒い、冷たい、眠い。作り手がどんどん減っていく中、五所川原市には、今なお昔ながらの方法で作り続けている”干しもち名人”がいます。
名人のこだわり
名人は、岩木山の姿を見ながら勘を働かせ、日が傾き寒くなる夕方から干しもちを作り始めます。大型冷蔵庫で作業を効率化することもできますが、岩木山から吹き下ろす寒風にさらすのは、干しもち名人ならではのこだわりです。
おいしい食べ方
よくできた干しもちは手で簡単に割れます。サクサクした食感。素朴で淡泊な味わい。口に入れると懐かしくて心地よいおいしさが広がります。よく合うのは黒ごま。そのほかに、炒り大豆、シソの葉、よもぎ、紅ショウガ、落花生などを入れた干しもちもあります。
そのまま食べてもいいのですが、焦げ目がつく程度に軽く焼き、バターでいただくともう止まりません。ストーブならおまけに楽しいです。また、高温の油でカリカリに揚げると、香ばしさが増して格段においしくなります。
干しもち作りのピークとなる大寒にはまだ早いのですが、これだけ厳しい冷え込みが続くと、もうそろそろ干しもち作りが始まることでしょう。
by 義人
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