2005年の忘年会シーズンもいよいよ残りわずか。
実はただの「飲み会」であることがほとんどですが、「忘年会」というだけで酒を飲む口実になるので、酒飲みにとっては非常にうれしい季節です。
先日の忘年会で出てきた茶碗蒸しに、なんと!あの「アピオス」が入っていました。
アピオスは北米原産のマメ科植物。学名は「アピオス・アメリカーナ」ですが、青森県の南部地方では「ホドイモ」とか「ホドッコ」と呼び、昔から庶民の味として親しまれてきました。このイモは、栄養価が非常に高く、古来からアメリカン・インディアンの強精食とされていたそうです。明治時代、りんごの苗木をアメリカから輸入した際、土と一緒に紛れ込み、帰化したというのが定説です。絶滅した(?)日本在来の「ホドイモ」と区別するため「アメリカホドイモ」と呼ぶこともあります。

大きさは親指ほど。味は、ジャガイモやサトイモにサツマイモを合わせたように、さわやかに甘く、「アズキあん」にも似た風味があります。ほくほくと口当たりが良くてクセもありません。上の写真は生ですが、丸ごと蒸したり煮たりしてそのまま食べるのが一般的な食べ方です。
この地方には「泣くな泣くな、泣かないならホドッコあげよう」という内容の子守歌があるとか。甘い物などなかった時代、ほのかに甘いホドイモは、どれほど子供心を誘ったことでしょう。その頃を思うとちょっと胸が痛みます。
アピオスで驚かされるのは、実にたくさんの栄養成分を豊富に含んでいること。
100グラム中のエネルギーは、イモの中で最高といわれる「サツマイモ」より約60%も多く、ジャガイモの3倍近くもあります。さらに、タンパク質はジャガイモの3倍、脂質は13倍、鉄分は4倍、ナトリウムは10倍、カルシウムにいたっては何と30倍です。そしてジャガイモなどにはないビタミンEが含まれていることが注目すべき点です。
庭先などでアピオスを昔から栽培していたこの地方では、よその土地に嫁ぐ娘の身体を心配した母親が、嫁入り道具のひとつとして、娘にコッソリ持たせていたという話もあります。きっとアピオスの優れた栄養価を経験的に知っていたのでしょう。もはやこのような風習は残っていませんが、「精力がつく」「元気が出る」ということで、アピオスは再び注目されるようになりました。
主産地は、ボイルしたものを冷凍して販売している五戸町(倉石地区)と生のまま真空パックで販売している七戸町(天間林地区)。電話でお取り寄せも可能ですが、最近は各地の「道の駅」でも見かけるようになりましたので、一度試してみてはいかがでしょうか。忘年会疲れに効くかもしれませんよ。
by 義人
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