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王宮の名をもつ食用菊 「阿房宮(あぼうきゅう)」

王宮の名をもつ食用菊 「阿房宮(あぼうきゅう)」

特産品・お土産 | 2006-01-20 16:31

南部地方を代表する作物に、秦の始皇帝が菊を愛でたという宮殿の名を与えられた食用菊があります。目に鮮やかな色合い。独特の芳香と甘味。そして歯ざわり。南部地方に古くから伝わる「阿房宮」です。

王宮の名をもつ食用菊 「阿房宮(あぼうきゅう)」

エディブルフラワーと言ってしまえば西洋文化のようですが、日本人はもともと花を食用としていました。江戸時代にはかなり大衆化していたようです。食用菊というと、関東以西では刺身と一緒に盛られる「つま菊」が一般的ですが、東北地方では大ぶりな花びらを野菜の一種として食べます。

現在、食用として栽培されている菊は約60種。山形で「もってのほか」と呼ばれる淡紅紫の「延命楽」と青森県南部地方特産で黄色の「阿房宮」が代表的です。

一説によると、江戸時代に南部藩主が京都の九条家から観賞用としてもらい受けたのがきっかけで、旧相内村(現南部町)で栽培してみたところ、花に苦みがなく、芳香と甘味があり、シャキシャキとした歯ごたえで実においしかったため、食用として藩内に広められたと伝えられています。

王宮の名をもつ食用菊 「阿房宮(あぼうきゅう)」

「阿房宮」の花は、初霜が降りる直前の10月下旬~11月にかけて満開となり、その時、名峰名久井岳に向かうゆるやかな斜面は純黄色の絨毯に覆われます。
菊の刈り取りは、太陽で蓄えられた甘味をいっぱい取り込むため、冷気に包まれる前の午後3時頃から始めます。菊の花はひとつずつ鎌で刈り取られ、農家に運んだ後は、花びらをむしる「菊ほかし」が続きます。花びらだけになった「阿房宮」は、蒸され、干し上げられて干し菊となります。

生品が料理されることもありますが、大半が干し菊となるところに「阿房宮」の文化があります。冬の食膳にもこのあでやかな色香をあしらえることとなった干し菊づくりは、名川町東円寺の板橋太観住職が開発し、教え聞いた清光寺の高山恵輪住職が地域へ普及させたと伝えられます。今から百年あまり前の明治30年頃のことだそうです。

南部の秋を閉じこめた干し菊は、さっと湯がくだけで鮮やかな彩りと味わいを取り戻し、一年中味わえます。この地方では、古くからさまざまな菊料理が食卓を飾っていますが、菊の風味を手軽に味わえるのはみそ汁。鍋のおろしぎわ花びらを散らすだけで趣のあるおいしいみそ汁になります。
お酢との相性も良く、湯がいて水気を絞り、ダイコンおろしと混ぜて二杯酢などで和える「菊なます」も絶品です。
伝統的な料理として見逃せないのは菊巻き。一夜漬けしたニンジンやダイコン、タカナなどを菊で巻きます。

子供の頃には分からなかった、やさしくて香しい南部の伝統野菜です。

王宮の名をもつ食用菊 「阿房宮(あぼうきゅう)」

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