カライモ
カライモ(=唐芋)と言えば一般的に「サツマイモ」を指すようですが、青森では、外見が生姜のようでもある「キクイモ」をそう読びます。最近見かけなくなった懐かしい食材の代表です。
キクイモは、花が菊に似て、地下に多くの芋ができることからそう呼ばれるようですが、地方によって、イモギク、イモヒマワリ、イットイモ、ハナイモなど呼び名は様々。青森ではなぜか「カライモ」と呼ばれています。
キクイモの歴史
キクイモが日本に伝来したのは幕末から明治時代初期。主に家畜の飼料とされ、一部で漬物用に利用される程度であったようです。食料として注目を集めたのは戦後の食糧難時代。おいしいとは言い難いイモですが、「作付統制野菜」に指定され、国民の飢えをしのぐ代用食として配給されました。
おいしい食べ方
青森でも、貴重な代用食として各地の庭先や畑に植えられていましたが、アクが強いので生食や煮物は不向き。一番おいしい食べ方はやはり”漬け物”のようです。よく食べたのは、梅の汁に漬けた「紅漬け」や「みそ漬け」、「粕漬け」。見た目ではどれもそそられませんが、いざ口にするとパリッポリッとした食感がとってもおいしい、それはそれは妙味のある漬け物でした。
西洋では、アメリカインディアンのトピナン族が食べていたことにちなんで、トピナンバーとかトピナンプールと呼ばれます。フランス料理やイタリア料理では、よく利用される食材なのだそうです。私は食べたことないですけど・・・。
天然のインスリン
そのキクイモには、血糖値の上昇を抑える働きがあり”天然のインスリン”と呼ばれている「イヌリン」が豊富に含まれていることが分かっています。ドイツやイタリアではキクイモの研究が進み、今では糖尿病克服の「切り札」として注目を集めているのだとか。
懐かしいキクイモ
食べる機会はめっきり減ったものの、何気なく食べていた(食べさせられていた?)「キクイモ」が、こんなに素晴らしい機能性を持っていたとは実に驚きです。懐かしくなって探したところ、南部町(名川地区)の道の駅「チェリーセンター」でやっと見つけました。青森市(浪岡地区)、七戸町、三戸町の産地直売所でも時々出回るという噂です。カライモはもう栽培されていないのでしょうか。
by 義人
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