「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」の三たてがおいしいと言われる「蕎麦」。
蕎麦は”つるつる”と楽しむものですが、青森には、噛んでこそおいしい「そば」があります。
青森県南部地方の家庭で昔からつくられていた「そばかっけ」です。
先日、久しぶりにおいしい「そばかっけ」を食べたので、
今回は「そばかっけ」に適したそば品種『階上早生(はしかみわせ)』を紹介します。
そばはタデ科の一年生植物。食用穀物の多くがイネ科やマメ科に属することを考えると、まさに異色の存在です。しかも、そばの品種というものは、米や麦などと異なり、あまり大切にされてきませんでした。もともとが救荒作物で品種改良に対するニーズがなかったこと、ほかの品種と交雑しやすく遺伝的にまとまった集団をつくるのが困難であったことなどがその理由です。
このため、そばの品種は、栽培されてきた土地の名がつけられるのが一般的でした。いわゆる「在来種」です。しかし、在来種と呼ばれたもののうち、固有の品種として認められたものはそう多くありません。階上の地名からその名が付いた『階上早生』のほかは、山形の『最上早生』、岩手の『岩手中生』などごくわずかです。『階上早生』は、気が遠くなるような長い間、この地方で大切に大切に守り続けられてきたのでしょう。
『階上早生』の実は大つぶできれいな黒褐色。とにかく香りが良いそばです。
土の香りをほのかに帯びたような何とも言えない香り。
よく伸びる生地。コシや粘りというより伸びが特徴だと料理人の方々も評価しています。
透けるほどうすく伸ばし、さらに、そのままでは飲み込めない三角形や丸形にそろえる「そばかっけ」。そばをおいしく食べるための工夫だったのでしょうが、香りと伸びを併せ持つ品種『階上早生』があったからこそ生まれた食なのではないか?そんなことを秘かに考えてしまいます。by 義人
おいしい「そばかっけ」は、次回、なおきに紹介してもらおうと思っています。
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