桜の開花が近づくと「はっ」と思い出すのが梅の開花。
今年の開花は、大雪と低温の影響で5日程度遅れ、主産地の南部町では4月17日頃と見込まれているようです。
ついつい「うめ」と言ってしまいますが、この南部地方に多いのは、実は「あんず」。なぜか昔から「うめ」と呼ばれる在来のあんず「八助」なのです。
「うめ」と「あんず」
「うめ」と「あんず」は同じ仲間。雑種も多数あるため見分けるのは一苦労ですが、簡単な見分け方は種(核)が実からはずれるか否か。「うめ」がはずれにくいのに対し、「あんず」は簡単にはずれます。「八助うめ」は、種がぱっかりと外れるれっきとした”あんず”。この地方で昔からつくられてきました。
「八助」の特徴
ひとつはなんといっても大きいこと。一般品種の3割ほども重く実に大柄です。
次に独特の食感。肉厚の果肉は緻密で、シャリッ、サクッとした歯応えは「八助」ならではです。
そして加工適性。 多くの品種は甘味少なく酸味が多いため、干しあんずやシロップ漬けなどに利用されていますが、甘味酸味ともに多い「八助」は、その食味と食感が梅干し(シソ巻き)の加工に適しているのだそうです。当然のように、この地方で梅干しに用いていたのは昔からこの「八助」で、これが「八助梅」と呼ばれるようになった理由でもあります。
熟した実を生で食べることもできますが、完熟果は収穫期が限られるうえ日持ちもしないため、スーパーなどに生食用で出回ることはまずありません。
「八助」の梅干し
小桃ほどもある「八助」は梅干しにするのが一番だと地元の人は言います。ただし、この地方で梅干しといったらシソ巻きのこと。まず、3日間ほど塩漬けした「八助」をふたつに割って天日で干し、ざっと洗って水を切った後、1個ずつシソの葉に巻いていきます。塩をまぶしながら並べ、お好みで砂糖やお酒などを少々加えて3ヶ月間ほど本漬けします。作り方は家庭それぞれで、人によっては蜂蜜を使ったり、本漬けの前に二度漬けしたりするようです。
実がなるのはまだまだ先ですが、とりあえず今年の花は、いつもの年より桜と一緒に楽しめそうです。 by 義人
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