津軽半島の春の風物詩の一つが若生昆布。
毎年1月から3月にかけて、
養殖昆布の一年ものを収穫し、
海風のもとゆらゆらと干しています。
若生昆布は、
薄く柔らかいながらも昆布特有の磯の風味もあるのが特徴。
普通は煮物などに使われているようですが、
私にとって若生昆布と言えば、
「おにぎり」しか思い浮かびません。
若生昆布のおにぎりは、
磯の香りと昆布表面の塩がおにぎりにちょうどよく、
昆布だけに旨味も最高なのですが、
若生と言えども昆布は昆布、噛み切るのは一苦労です。
これは繊維に逆らって噛んでいるからで、
繊維に沿って噛めばそれほど苦労することはないのですが、
子どもの頃の私にそんな知恵はなく、
昆布を噛み切れないまま、ご飯だけが口の中に入ってきて、
そのことが妙に楽しかったものでした。
若生昆布のおにぎりと言えば外ヶ浜町三厩地区が有名で、
この辺りのものは三日月型に作られていて、
普通に食べれば噛み切りやすいようになっています。
写真は小泊村の食堂で食べたもの。
丸いおにぎりに昆布を巻いているだけで、
子どもの頃食べたのはまさにこれです。
繊維を流れを見て上手に食べないと、
子どもの頃に遡ったように、
口の中にご飯だけが入ってきます。
でも、そのことが妙に楽しかったりします。
私の父は金木町出身で、
私が子どもの頃、
父が昔を懐かしむように食べていた若生昆布のおにぎりを、
とても新鮮な気持ちで食べていた記憶があります。
今は、たまに見かけると、
自分が懐かしさを感じ、ついつい食べてしまいます。
by yoshihito
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