去る5月1日、半年もの間(11月~4月)眠りについていた恐山の山開きが行われました。
天台宗の慈覚大師円仁により開山されたと伝えられる「恐山」。立ちこめる硫黄臭と荒涼とした風景はまさに異空間。地獄と極楽を垣間見るようです。
至るところにどす黒い熱湯が音を立て、「九十九地獄」とも言われる恐山ですが、吹き出しているのは地獄ばかりではありません。恐山境内には、参詣者(入山料500円)が自由に入浴できる4つの温泉が湧き出ています。
境内に湧く霊泉は、「薬師(やくし)の湯」、「古滝(ふるたき)の湯」、「冷抜(ひえぬき)の湯」、「花染(はなぞめ)の湯」。そして今は使われていない「新滝の湯」の五つで、かつては五霊泉と呼ばれ湯治客で賑わったと言います。
現在は、新しい宿坊に「御法(ごほう)の湯」が設けられ、これら五湯が参詣の人々の垢やけがれを洗い清めてくれます。千古の歴史を秘めた薬湯はどれも良質の硫黄泉です。でも、かなり熱いので、入浴の際はご注意ください。

恐山の薬湯は、不思議と恐山本殿のある「延命地蔵尊」の付近に限られています。まず、山門を入った境内右手、常水盤の手前にあるのは「薬師の湯(男女入替)」。昔から眼病によく効くと伝えられます。
その向かい側、山門を入って左手にあるのが「古滝の湯(男女入替)」。胃腸病に効くと言われます。
「古滝の湯」と並ぶように建つのが「冷抜の湯(男女入替)」。神経痛とリウマチに効くと伝えられます。
そして、地蔵堂本殿へと続く回廊の裏側にかくれた今はただひとつの混浴風呂が「花染めの湯」。世にも珍しい朱砂泉で、入浴後は肌が紅く染まって見えると言われ、血の巡りが良くなる若返りの湯として評判が良いようです。皮膚病や切り傷にもよく効くと伝えられます。
さらに、宿坊「吉祥閣」内にあり、宿泊客のみ利用できるのが「御法の湯」。薬湯の中では最も大きな浴槽で、洗い場も20席備えます。神経痛や筋肉痛、関節痛、消化器病などに効果があるようです。
知る人ぞ知る「恐山の薬湯」。一度はお試しを!(硫黄臭が強いので注意) by義人
※恐山の情報は こちら(むつ市観光案内HP) から。