先週の後半から日曜日までずーっとニンニク産地に行ってました。
なので、今回ご紹介するのは、もちろんニンニク。
収穫真っ盛り
ニンニクの収穫は6月下旬から7月中旬。まさに今です。
一片が大きいことで知られる福地ホワイト六片ですが、土の中で大きくなりすぎると割れてしまい商品価値が下がるので、収穫は2週間から3週間の短い間、梅雨の晴れ間を選んで一斉に行われます。
今の時期、南部地方のニンニク産地を回ると、町中がニンニクの香りに包まれているのがわかりますよね。
今だけ!生ニンニク
収穫されたニンニクはそのまま私たちの食卓に届くわけではありません。意外と多くの人がスーパーに並ぶニンニクを”生”だと勘違いしていますが、実は水分を30%ほど飛ばして貯蔵性を高めた乾燥品です。生のままでは日持ちしないため、収穫されたニンニクは大半がその日のうちに乾燥に回されます。だから生ニンニクが食べられるのは収穫後のごく短い期間だけ。しかもごく少量なので地元でなければなかなか手に入りません。
生ニンニクのおいしさ
生ニンニクのおいしさは、何よりもシャキシャキとした歯応え。あまりのみずみずしさにニンニクであることを忘れて(!)しまいそうです。生のまま醤油漬けにするとその食感が生かせますし、スライスをきゅうりや白菜の浅漬けに加えるとそのみずみずしさが効いてきます。
そしてニンニク好きにはたまらないのが強烈過ぎるほどの香りと超刺激的な辛みです。好き嫌いが分かれるところですが、すりおろした生ニンニクは、パンチの効いたフレッシュな辛みと独特のとろみが最高!イカ刺しや馬刺しに合わせると絶品!!と産地の方々が教えてくれました。
同じ「福地ホワイト」でも今でなければ楽しめない生の「福地ホワイト」。ぜひ味わってみてください。by 義人
日本最強の在来種「福地ホワイト六片」のお話。
青森県は国産ニンニクの大産地。国内生産量の8割と実に圧倒的です。その大産地を支えているのが「福地ホワイト六片」という在来種。青森が日本一のニンニク産地になれたのは、先人達がこの種子を絶やさず残してきたからだと言っても過言ではありません。
青森県には、昔から福地村(現南部町福地地区)、三戸町、岩木町(現弘前市岩木地区)など各地に在来種があり、もっぱら自家用として栽培されていました。ニンニク栽培が盛んだった南部地方は牧畜が盛んな地域でもあります。馬にとってもニンニクは万能薬だったらしく、鎌倉時代の昔から馬の飼育に付随して栽培されていたという説もあります。
在来種のなかで特に評判が良かったのは福地村苫米地のもの。白くて大きく、しかも甘味がある福地のニンニクは、「苫米地ニンニク」の名で八戸市をはじめ青森市や三沢市まで運ばれていたといいます。また20年代後半には米国へも輸出されていたようです。
長い間薬用として利用されてきたニンニクは、戦後、生活様式の多様化が進むと、香辛料や調味料として料理に利用されるようになります。それが昭和30年代。全国的な需要の伸びにしたがって県内でも栽培機運が高まり、青森県農業試験場は、全国から在来種を集めて比較試験を行いました。この結果、最も優れていたのが福地の在来種だったのです。球皮、りん片とも色が白く、りん片の数も6個前後で形も大きいことから、昭和38年、「福地ホワイト六片」と命名され、全県で栽培されるようになりました。
一般的に品種の移り変わりが激しい野菜の中にあって、今でも「福地ホワイト六片」が好まれている理由はたくさんあります。まずは、その名のとおり、雪のように真っ白できれいなこと、そして、りん片が大きく使いやすいこと、香りが豊かなこと、実がよくしまっていて肉質が良いこと、甘味が強く味に奥行きがあること、貯蔵性が高いことなどなど。
青森の在来種「福地ホワイト六片」は、一度使ったら止められないニンニクの王様です。
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