青森には、その季節がやって来るとどうしても行きたくなる「名物街道」がいくつもあります。
その道のひとつが岩木山麓の「嶽きみ街道」です。
「嶽きみ」が旬をむかえる八月中旬から九月にかけて、おいしい嶽きみを売る直売所が多数出現し、それを買い求める客らで車が行列をなすことからそう呼ばれる(?)ようになりました。
「嶽きみ」とは、朝晩の寒暖の差が大きい岩木高原の嶽地区で、ほかより日数をかけてじっくり育てたトウモロコシのこと。糖度がほかの産地より2~3度も高く、そして軟らかいため、生で食べもかなり美味しいと評判です。もともとは自家用だったようですが、あまりの美味しさで評判が広がり、生産量が拡大してきたのだといいます。
”嶽きみ”の文字が目につき始めるのは、786年(宝亀11)に光仁天皇により創建されたと伝えられる国の重要文化財「岩木山神社」を鰺ヶ沢方向に少し過ぎたあたりから。「嶽きみ」「ゆできみ」と手書きした味のある看板と宅配便のカラフルな幟旗、海辺にこそ似合いそうなビーパラソルが延々と並び、その背後に広大なトウモロコシ畑が控えています。
15~16店もある直売店では、自分たちの畑で朝もいだ嶽きみを、店先で茹でて食べさせてくれます。店によっては”焼き”もありますが、「嶽きみは茹でに限る」というのが一致した意見で、茹できみを扱わない店はまずありません。もちろん、土産として生のまま買うこともできますし、宅配便で送ることも可能です。茹できみの値段は一本200円前後、生の嶽きみは、大きさにもよりますが1本150円くらいです。値段には大差ないのでお店選びは好みと経験。お店の人と会話して、試食して、お気に入りを見つけるのが良いでしょう。
扱う品種は時期や店によっていろいろあります。微妙に異なる品種間の味の違いを確かめてみても面白いですよ。この街道に来た人だけの特権ですから。by 義人
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