弘前市街から嶽温泉郷に向かう途中、何気に目にする「地蔵茶屋」。
お地蔵さんの近くにあるから地蔵茶屋といありふれたネーミングですが、岩木山を目の前にいだくロケーションには心惹かれます。
何も特別なものではないけれども、地元の人が好む味付けで仕上げた素朴な山菜そばは、岩木山を挟んで反対側の五所川原市からもわざわざ食べに来る人がいるほど不思議な魅力があります。
この地蔵茶屋ができたのは30数年前のこと。
お地蔵さまがある以外は何もないこの場所ですが、店ができたのがちょうど”嶽きみ”が世に出始めた時期と重なっているので、そのあたりは何か関係があるのかもしれません。
地蔵があるから地蔵茶屋。
ありがちなネーミングですが、田楽の変形ともとれるしょうが味噌おでんがあるあたりに、なんとか茶屋らしさを感じることができます。
雪深い土地なので、地蔵茶屋も冬季は休業。
例年、4月中旬から11月中旬にかけてまで、ほとんど休みなしで店を開けています。
このお店に昔からあるメニューは山菜そばと生姜味噌おでん。
何の変哲もないものですが味は最高。
何よりも水と空気と景色の作用が大きいのだと思われます。
店の主人も普段使っているそばつゆやみそだれを自分の家に持ち帰っても、地蔵茶屋の味は出せないのだと言います。
そばつゆやみそだれは、丁寧に心をこめて作っていること以外は何のてらいもない素朴な味で、爽やかな空気と車が通る音こそすれ、山が音を吸い込むような特有の静けさの中で食べるそばは格別でした。
8月に入るとそろそろ”嶽きみ”が出始めます。
地蔵茶屋が一番賑わう季節がやってきました。
by YOSHIHITO
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