青森の街を熱狂で包み込んでしまう「青森ねぶた祭」。
8月2日から始まったこの祭りは、「弘前ねぷたまつり」とともに本日7日が最終日となります。
夜空に浮かび上がる巨大なねぶた灯籠。
腹の底に響き渡る地響きのような太鼓の音。空気を切り裂くはりつめた笛の音。魂をせかすにぎやかな手振り鉦。跳人たちが叫ぶ「ラッセラー、ラッセラー」の声、声、声。
こうした青森ねぶたの音の風景に欠かせないのが、シャン、シャン、シャン・・・と弾む鈴の音です。
この鈴はいつから身につけていたのか?詳しいことはわかりませんでしたが、昭和20年代後半の資料に、「鈴は1個2円」と記録されているようですし、当時を振り返り「子供心に、夕空に響く鈴の音はうれしくて、静寂の闇に聞こえる鈴の音は寂しくもあった」と語る人も大勢います。ねぶた祭が復活した終戦直後には、どれほどの人が鈴を手に入れることができたかわかりませんが、ねぶたと鈴はその前から切り離せない関係だったのでしょう。
さて、その鈴は、近年「幸せを呼ぶ鈴」と言われ、観光客に人気があるといいます。あの鈴を拾うと”幸せになる”とか”幸運が訪れる”のだとか。
その由来は定かでありませんが、たしかにあの軽やかな音を聞くと、何かいいことが起こりそうな予感がします。
このためか、鈴が転がっているのを見つけると、跳人たちが乱舞している輪の中に突進してくるお客さんも・・・。とても危ないのでご遠慮くださいね。「鈴ちょうだい!」と跳人たちに声をかけると、きっと快く分けてくれますから。
人に幸せをもたらすという「ねぶたの鈴」。でも、一番幸せなのは「ねぶたの鈴」そのものかもしれません。なにしろ、あれほどたくさんの人達に恋われるのですからね。
by 義人
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