こぎん刺し
これ、私の名刺入れです。
生成の麻の生地に茶色の木綿糸で刺した、こぎん刺し。
津軽の伝統工芸である「こぎん刺し」は、
江戸時代、木綿の衣料を着ることが許されていなかった農民は
麻地の着物を何枚も重ね着して寒さをしのいでいた。
そこで、農村の女性たちは、保温と補強のために、
麻の布地の要所要所に木綿で刺子を施した。
その特徴は、藍染の麻地に白い木綿糸で織目に沿って手刺しする。
というものです。
南部地方の「菱刺し」も同様の手法ですが、ちがいは、
津軽のこぎん刺しは、織目に沿って、
「奇数」で目を拾って模様を刺していく、
南部の「菱刺し」は、「偶数」で目を拾って刺していくこと。
奇数か偶数かは、模様の展開に大きな違いを生むのだそうです。
かつては、藍染めの麻地に白の木綿糸という組み合わせだけ
だったのでしょうが、
今は、いろんな色の組み合わせがあります。
東京在住の私は、名刺入れを出すと、相手の方はだいたい
青森の「こぎん刺し」も「菱刺し」も知らない方がほとんど。
「それは、クロスステッチですか?」とか
「北欧のデザインのものですか?」なんて聞かれることもあります。
質問されるのは女性がほとんどですが、ほめていただいています。
うれしいですよね。
これを買ったときは、布製なので、革製のものに比べて
弱いのかな?なんて思っていましたが、
使い始めて2年半使った今は、糸を刺していない部分が
ちょっとすり切れてきたものの、糸を刺した模様の部分は
新品のときとほとんど変わりありません。
「保温と補強」のために、女性たちが刺したこぎん刺しは
私の名刺を保温はどうかわからないけど、
日々、補強してくれているのは、確かです。
伝統工芸品って、日常生活にはあまり縁のないものという感じもありますが
何か、小さいものを使ってみるのは、オススメですよ。
byひろぽん
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