夏祭りが終わるともうお盆モード突入ですね。
お盆は正しくは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、祖先や亡くなった人の霊をまつる仏教の行事ですが、今では、この時期にあわせて夏休みをとったり、故郷がある人は実家に帰省したりする夏の節目として生活に根づいています。
仏前に供える花といえば輪ギクが一般的。古くから庶民の庭先で栽培されるほど身近であったことや、いつの季節でも手に入れやすいことがその理由となっていますが、菊の花が好まれたそもそもの背景には、菊の花咲く理想郷の物語「菊水伝説」(中国の故事)があるのだとか。
私たちになじみ深い輪ギクに、実は、青森県が育成したオリジナル品種があります。
平成18年3月に品種登録された「えみあかり」という名の輪ギクです。
今までになかった輝くような黄白色と、中心は黄色で外に向かって白くなる独特のグラデーションが最大の特徴。「淡い色はダメ」と言われる輪ギクの中ではまさに異色の存在ですが、花びらにはつやがあり、満開後も落花しにくいという嬉しい特性もあります。
青森は、夏でも夜温が低く昼夜の温度差が大きいため、花の色が鮮明になり、花本来の色に仕上がるといいます。また、鮮度がよく日持ちのよい花を生産できるので、全国的に見ると生産量はそれほど多くありませんが、青森は優良な花き産地として高く評価されています。
供花の種類に制約はなく、最近は華やかな洋花も増えているようですが、もし花屋さんで”輝くえみあかり”を見つけたら、一度ご利用になってみてはいかがでしょう。「えみあかり」は、少量ながら青森、弘前、八戸の花き市場で取り扱われ、県内の花屋さんで販売されています。 by 義人
【追加】
太宰治の「思い出」で紹介されている「金木町 雲祥寺(うんしょうじ)」の住職さんから、仏前に菊の花が用いられる理由を寄せていただきました。
その内容を簡単に紹介すると、菊の放つ芳香には強い殺菌力と防臭効果があるため、現代のように防腐技術が発達していなかった昔、大切な亡骸に菊の花を供える習慣ができあがったというもの。(そういえば、刺身のツマにも菊が添えられます・・・。)
一戸住職さん、わざわざお電話までいただき、本当にありがとうございました。
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。