酸ヶ湯そば そば粉100%
はじめて書物に出てきたのがおおよそ330年前。
既にその賑わいのため、統制規則があった酸ヶ湯温泉。
もちろん深山の湯治場であると共に、八甲田山の山岳トレッキングの中核基地であり、青森県観光の拠点でもあります。
お泊まりのお客様、湯を目指してきたお客様、山から降りてきたお客様、十和田湖を目指すお客様などさまざまな方々がここに立ち寄り、その衣類や格好でなんとなく見分けがつくのもここ酸ヶ湯の特徴です。
「お湯のこと」は近いうちにまたゆっくりと書きたいな、と思っていますが、今回は「酸ヶ湯そば」のことを。
先週、酸ヶ湯温泉鬼面庵に伺ったときは、ちょうど「新そば」が入荷しました、とお祭りのような賑やかさでした。
この新そば、おおよそ11月頃まで楽しめるのだそうです。
酸ヶ湯そばの歴史は、戦後から。
山開きといった3月から山じまいといった10月末までの間のみ営業していた当時の酸ヶ湯。
せっかくお越しの方々に地元のおいしいものを食べていただきたいと、八甲田山への入口である雲谷(もや)に一面に白く咲く特産の「雲谷そば」を酸ヶ湯で出したのが始まりです。
酸ヶ湯でも当時は「雲谷そば」という名前で食べていただいていたのだそうです。
酸ヶ湯のそばは、その時と変わらない製法。そば粉100%。
特産のそば、そして何よりも得難いのは、八甲田山から湧き出るおいしい水。
その後、雲谷のそば生産が少なくなってきたのを機に、名称を「酸ヶ湯そば」に変更します。
名前は変わっても、八甲田山の山中に湧き水を引いたそば小屋で打ち、昔からの製法で作る、何も変わらないそばです。
そばは「煮立て」と「煮置き」をおきます。
煮立てはざるそばのみ。
その場で茹でて、八甲田の冷水でぎゅっと締めます。
煮置きはさっと温かい湯にくぐらして、酸ヶ湯の周辺で取れるこだわりのおいしい具を載せてくれます。
上から、
きのこそば750円(八甲田で採れたいろいろなきのこが入っています)
月見そば650円(地鶏のたまごを載せた滋味溢れる味です)
山菜そば750円(たけのことふきとわらび。ワタシはこればっかりです)
やさしくやさしく力を入れないように箸で持ち上げないと、持ち上げた先からホロホロっと切れていく津軽のおそばのあの感覚。
甘くしないつゆ。
サクサクッとしたあの食感。
つゆの中に切れたそばが少なかったときには、今日は上手に食べれたな!とちょっと得意気分。
筍おでん(しょうが味噌おでん)を買って、こんな感じが大好きです(笑)
byなおき
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