「良い食品を作る」ひたむきな志 かくた武田
かくた武田を盛り上げた中興の祖、二代目信太郎の考えた武田の納豆、それは「大粒の大豆をしっかとり発酵させた」納豆。
まさにそれこそ、「完熟」の納豆。
しっかりと発酵させた納豆は、完熟を示すアメ色になります。
活発な発酵の過程で納豆菌は大豆に含まれる水分を多量に消費します。
こうして、納豆の表面には若干の「シワ」ができ、そして水分が奪われることで、弾力はあるけれどもしっかりした歯ごたえになります。
そして、青森納豆の大豆は全量国産。
20年ほど前、収穫後の農産物にも殺虫剤などの農薬を散布するポストハーベストが問題となったとき、思い切って全量国産に切り替えます。
豆は青森産はもちろん、山形産など青森と似た風土の日本海側産のものの中から、これぞ、というものを選び、さらに問屋さんでいびつな豆、形や色の悪い豆などを一粒一粒手で選り、良質の粒を厳選して使っています。
豆の形や色がそのまま見える食品である納豆には、こうした手選りの手間を惜しみません。
十分に完熟する中で納豆菌はさまざまな酵素をつくり、大豆タンパクをアミノ酸や糖類に変えていきます。このアミノ酸、糖類こそが納豆のあのネバネバの素です。
青森納豆を箸でかき混ぜようとします。
初めての方がビックリするのが、納豆同士がネバネバでくっつき合っていてかき混ぜるのに猛烈な抵抗を感じ、重いということ。箸が折れそうなほどです。
そのネバネバの量が多く、それが思いっきり糸を引くことになります。
さらにその糸も真っ白。納豆を包み込むほどです。
最近の納豆は、①小粒で、②色は薄めで、③糸を引かず、④匂いがしない。
納豆が多くの人たちの心をつかむために進んできたこの方向は、今では納豆の主流になっていますが、こちらの青森納豆は違います。
この流れと全く正反対の納豆らしい納豆の本流を行きます。
さらには、納豆本来の味で食べて欲しいと「タレや辛子」もついてません。
「納豆が糸を引かないなら、煮豆と一緒。」
こう言い切る四代目充浩さんには、納豆の発酵を完熟と言うまでに高めたこの納豆に対する考え方にぶれはありません。
今風の納豆と一線を画する昔ながらの本物の納豆。
豆を包み込むネバネバの量といい、噛んだむちっとするあの食感。
懐かしいあの納豆らしい匂い。ネバネバがオビのようにひろがるネバリ感。
特別な納豆ではない。「良い食品」を作っているだけ。
その当たり前と言い切る姿勢と王道の納豆にただただ感嘆です。
かき混ぜれば混ぜるほど真っ白で大きな糸を引きおいしくなる青森納豆。
一般的に納豆は、しょう油を入れる前にたっぷりかき混ぜ、たっぷり糸を引いたらチョイとしょう油するのがいいみたいですよ。
ワタシは「デリカフレンド」ファンなので、しょう油代わりにいれちゃいます(笑)。
豆のおいしさを確かめながら、この食感と口いっぱいに広がるネバネバをお楽しみ下さい。
byなおき
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