大地が雪におおわれ、里に冷たい北風が吹き下ろすこの季節。
その気象条件を利用したおいしい保存食が登場します。
今はなかなか目にすることがなくなった「凍み豆腐(しみどうふ)」です。
豆腐を凍結乾燥させた保存食で、東北地方で古くから食されてきましたが、
高野山で製造される「凍り豆腐」が精進料理や土産品として全国に広がったため、
世間一般には「高野豆腐」という名で知られています。
(※日本農林規格JISの正式名称は「凍り豆腐」だそうです。)
この凍み豆腐づくりは、寒い日の夜を選んで行われてきました。
硬く水切りした豆腐を適当な大きさに切りそろえ、簀の子に並べて屋外に置いておくと、夜のうち一気に凍り、翌朝にはきれいな飴色になります。それを一つずつワラで編み、軒下に吊して1~2ヶ月ほど自然乾燥させれば、大豆の香り豊かな「凍み豆腐」が完成します。
今でも「凍み豆腐」づくりが盛んなのは三戸町の貝守やまゆり会。
12月中旬から2月下旬まで、
地元産大豆を原料とした「凍み豆腐」づくりが毎日行われ、
3月には道の駅「さんのへ」に隣接した「SAN・SUN産直ひろば」で販売されます。
山間で育った私には豆腐といえば「凍み豆腐」。
煮しめにも、味噌汁にも、馬肉のさくら鍋にも「凍み豆腐」が入っていました。
今でも「凍み豆腐」を食べると、
いろいろな汁の味と一緒に思い出までにじみ出てくるような気がします。
by 義人
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