「緑化基盤」という言葉は、私たちの普段の生活にはなじみがありませんが、簡単に言うと植物を生育させる土台(植生基盤)のことで、土や土以外の物質を加工・成型してつくられます。
芝生や草木の植栽に「土」が必要なのは常識ですが、土そのものだと使いにくい状況下(たとえばビルの屋上など)では、メンテナンスが容易で建物への負荷が小さい「緑化基盤」が便利というわけです。
普通の緑化基盤は、輸入材やウレタンフォーム、ヤシ繊維、樹脂などでできていますが、青森には、県産の天然リサイクル素材を利用した地球にやさしい緑化基盤があるんですよ。
それが、㈱プラム・エコ・プロジェクト(八戸市)の「プラム・エコ・システム」です。山林において未利用のまま廃棄されているスギの間伐材を原料としているので、森林保全にも役立っているのだと言います。
※森を育てるためには木が育ちやすい密度に調整する必要があります。そこで木を間引きするのですが、間引きされた間伐材は細くて用途が少なく、採算が取れないことから、全体の約75%がそのまま野ざらしにされているのが現状です。野ざらしのままでは下草が育たず、土壌も弱り、水を汚染し、生態系が乱れ、植林された木の育ちも悪くなり、やがて森林破壊へとつながります。間伐材の利用促進は国土保全のためにも重要なのです。人がつくった森は人が手をかけて守っていくしかないのだそうです。
この画期的な緑化基盤材は、製材所から出される廃棄物の再資源化に取り組んでいた林業試験場と未利用のスギ間伐材で植物を育てられないかと考えていた㈱プラム・エコプロジェクトの共同研究により誕生しました。芝生はもちろん、盆栽や野菜栽培まで、実に幅広く使えます。
もともと緑が豊富な県内で目にすることができるのは青森空港や八戸市庁前の広場などごくわずか。大々的に緑化が進められている都会で広く利用されているのだそうです。
もしかしたら、都会で何気なく見ているその芝生の下に、青森のテクノロジーが潜んでいるかもしれません。
そうなんです。青森の魅力は、豊かな自然やおいしい食べ物だけじゃないんですよ!
by 義人
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