青森生姜味噌おでんに欠かせない具材
青森の生姜味噌おでんに欠かせない具材といえば、何と言っても「大角天」です。
薩摩揚げを薄く、大きく、四角く仕上げたもので、津軽ではこうした練り物を油で揚げたものを「天ぷら」と呼んでいたことから、【大きく、四角く揚げた、天ぷら】ということで、「大角天」(だいかくてん)と名付けられたようです。
この天ぷらを開発したのは、青森市内で最も古い創業明治三六年の「カネセ高橋かまぼこ店」。ほたて十万石で有名なお店です。
四代目重明さんにお話を伺うと、「合浦公園の屋台の方から依頼を受けて作った」のが始まりと教えてくれました。
合浦公園とは、青森市の東側に位置する大正期に作られた本格的な都市公園で、砂浜では海水浴も出来る市民の憩いの場所です。
戦後、合浦公園の海水浴は市民だけでなく遠方からも訪れる大きな楽しみで、それはそれは大変賑わう場所でした。
ここで営業する屋台の方から依頼されたのは、「薄い天ぷらにして串を波形に打ち、串が抜けないようしたい」ということでした。
そこで老舗かまぼこ店は、薄く、平たく、四角く揚げるためのさまざまな工夫をしていきます。薄すぎると平たい竹でできた串で大角天が裂ける。
厚くすると値段が高くなる。
こんな試行錯誤から生まれたものでした。
その後、大角天を機械で揚げられるようにするために、日本中の機械を探し、ようやく見つけた九州の機械を購入し、量産していきます。
あまりの売れ行きに市内のかまぼこ店も注目し、ライバルであるものの、もとはのれんを分けたかまぼこ店、と快く機械の販売店を教え、今のように青森市民の生活に根ざした食べ物になったようです。
大角天はおでんに使う材料でもあることから、かまぼこのような高価な材料を使っているわけではありません。
そのため、古くから大角天をそのまま網を敷いたストーブに上げ、裏表を炙って酒のつまみにしていたのだそうです。
焼く毎に油がにじみ出てきながら、表面がカリッとした食感になってきます。
少しの甘さと魚肉のうま味でジャンキーな即席つまみができます。
ストーブで炙る。
(そういえば、冬は何でもストーブで炙っていたな、なんてふと思い出してしまいました。)
青函連絡船などを待つ人たちに身体の芯から温まる生姜が入った温かいおでんはことのほか愛されたことでしょう。
当時の具材は、「こんにゃく」と「大角天」のみだったそうです。
合浦公園の海水浴場は青森市民の行楽の代表だったようですが、ここでも生姜味噌おでんは、「こんにゃく」と「大角天」でした。
次第に物資が供給され、生活も豊かになっていくに従い、おでんの具もいろいろバラエティを持つようになりました。
そんなものの中で青森らしさを持つおでんの具の代表選手と言えば、「根曲がり竹」と「つぶ貝」、そして「ぼたんちくわ」です。
だいぶ暖かくなってきたので、もっと早くアップすればよかったです。
ゴメンナサイ。 byなおき
ところで、今冬、ワタシのマイブームの一つがコレ↓
カネセ高橋の「割烹おでん」。
タネの全てがオシゴト系。
主に料亭さんや仕出し屋さんからの要望で数々のおでんの変わり種をつくってきたコチラの割烹譲りの数々のタネを上質なおだしで炊いた逸品です。
レンジで温めるだけで、本物に出会える。600円。
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