いよいよ4月。新年度です。
いろいろなものが切り替わるこの時期、
青森りんごも「無袋(むたい)」から「有袋(ゆうたい)」へと切り替わります。
「有袋りんご」とは袋をかけて栽培したりんご、「無袋りんご」とは袋をかけないで育てたりんごです。
青森県でりんご栽培に袋かけが行われるようになったのは明治38年。
もともとは、大発生していた害虫からりんごを守るためだったのですが、
その結果は、見事に成功しただけでなく、
果皮がなめらかで色づきも良くなるという思わぬ効果をもたらしました。
この有袋りんごが高値で販売されたこともあって、
「害虫防除」より「着色効果」が注目されるようになり、
県下全域に急速に普及していきました。
「無袋りんご」は、「有袋りんご」に比べて果皮の赤みが濃く、あざやかさはありません。見た目は多少劣りますが、糖度が高く、品種によっては蜜がたっぷり入るので人気があります。
一方「有袋りんご」は、「無袋りんご」のようにずば抜けた甘味はありませんが、果皮が鮮やかな紅色で美しく、貯蔵性が高いのが特徴です。また、無袋に比べると一般的に果皮が薄くなるので、皮ごと食べてもあまり気にならないというメリットもあります。さらに、見て楽しい「文字入りりんご」は、有袋栽培を利用してつくられているのですよ。
だから青森では、無袋栽培を主体としながらも、販売時期とニーズ(品種、目的)に応じた有袋栽培が組み合わされているのです。
知っている人が見れば「有袋」と「無袋」は簡単に区別できますが、私たちが有袋か無袋かを区別するにはちょっとした知識が必要です。
それは「サン」という表示があるかどうか。例えば無袋の「ふじ」なら、お店では一般的に「サンふじ」の名で販売されます。”サン”とは”太陽”のこと。袋をかけず、果実がお日さまをたっぷり浴びているという意味です。逆に「サン」と標記がないふじは「有袋ふじ」ということです。
次にわかりやすいのは販売時期。無袋りんごは有袋に比べて貯蔵性が低いため、年内~3月までを中心に先に出回ります。
一方、有袋が出回るのは主に4月以降。貯蔵庫の中でゆっくり追熟させてから、無袋ふじの後から夏場まで販売されます。
”見ため重視の栽培”という誤解から「袋かけ」の功罪が問われることもしばしばですが、
おいしいりんごづくりにかける生産者の高い志がある限り、
この袋かけは、日本一のりんご産地青森に無くてはならない栽培技術なのだと思います。
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