ご自宅や実家にこんな「置き石」はありませんか?
それじゃあ、子供の頃、親戚の家で見かけたことは?
津軽は「錦石」と呼ばれる美しい天然石の産地として古くから有名です。
「錦石」とは、磨くと美しい色彩や光沢を示す津軽産の天然石の総称。鉱物的分類というよりは、その色の美しさや模様の特製によって分類されるのが一般的で、多彩な色彩と模様が錦のように美しいことからその名が付けられたのだとか。
津軽では、このきれいな錦石を削り、磨きをかけて、観賞用としてはもちろんのこと、実用品や装身具として古くから利用してきました。
この美しさは広く知られていたようで、「津軽藩日記」には1675年に幕府に錦石を献上したことが記録されていますし、菅江真澄の「遊覧記」や伊能忠敬の「測量日記」、木内石亭の「奇石産誌」においても度々紹介され、そして絶賛されています。
現在ではいろいろな形に加工されますが、江戸時代は、”津軽玉”と称される珠状にしてかんざしや根付けに用いられるのが一般的でした。この津軽玉の制作を修行した若狭藩士が、若狭へ帰って珠づくりの技術を伝え、若狭瑪瑙細工の隆盛をもたらしたと伝えられています。さらに、この流れを継いだ者が甲斐の国に入り、有名な山梨水晶細工の基礎づくりに貢献したのだとも。
ところが、本場津軽の錦石づくりは一時途絶えたことがあります。弘前城下を流れる土淵川の瑪瑙が取り尽くされてしまったことが主な原因とか。ようやく復活したのは昭和になってからのことで、因果なことに、若狭の飾り物細工屋に徒弟として修行した津軽人がその技を持ち帰ったことがきっかになりました。
(↑上が磨いたあとの錦石。↓下が磨く前の錦石。)
錦石は大きく分けて「置き石」と「細工」の2種類。どちらも、たくさんの地道な工程を経て削られ、そして磨かれ、やっと輝きます。
これまでは、アスパムや青森空港で目にしても何となく通り過ぎていましたが、これからは、見る目が違ってきそうですね。 by 義人
錦石は『青森県伝統工芸品』に認定されています。
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