駿馬が駈ける牧場に「確かなモノ」を作る人たちがいました。
以前からこのブログでご紹介しようと思っていた「東北牧場」。
スゴイところなんです。
大正6年(1917年)に設立された東北町にあるこちらは、サラブレッドの生産・育成・調教を行っている馬の牧場で、総面積90ha。
サラブレッドのトラックやパドックの他、45haの広大な牧草地と3haのデントコーン飼料畑、3haの野菜畑、馬場・畜舎等があり、ゆったりとした空気を感じさせるものの、実に機能的に区割りされているところです。
総括責任者の九十九ひろ子さんは、以前から取り組もうと考えていた無農薬、無化学肥料の野菜栽培を、牧場を囲うように取り巻く森林帯によって隣接農地から隔絶されたここ東北牧場で始めます。
馬糞と敷き藁から生産される自家製堆肥を利用した有機野菜。自然の力と深い愛情を注いて育んだ100種類にも及ぶ野菜は、有機JASを取得し、認証が与えられ「確かなモノ」を求める方々にインターネットで販売され、牧場から直接消費者へ直送されています。
05年にはこうした地道な取り組みの積み重ねが認められ「畜産大賞地域振興部門特別賞」を受賞するなどますますその評価は高まっています。
東北牧場が徹底的にこだわっているのは、野菜だけではありません。
最も特色のあるのは、「鶏卵」です。
天井の高い採光が取り入れられたさわやかな鶏舎は完全無臭。
採卵鶏のためにたっぷりもみ殻が敷かれ、ふわふわの床を鶏たちが元気よく駆け回っています。
この平飼い鶏舎とパドックと呼ばれる屋外の運動場を備えた7900 ㎡の敷地にいる採卵鶏はたったの400羽。
1羽あたり8坪のたっぷりなスペースで暮らしています。
さらに、自然のままの生活環境で卵を生んで欲しい、と有精卵を生産するために雌鶏10羽に対して雄鶏を1羽混入した雌雄同居をさせています。
さらに、これらの採卵鶏に与えられる飼料は、国内最強の「全量国産有機飼料」。
中心となるのは、牧場内の畑で生産する有機栽培のデントコーンです。
3haもの広大な畑で作られた無農薬・無化学肥料のデントコーンは、秋から冬にかけて、一本一本を人の手でもぎ取り、柵に吊され、自然乾燥され、にわとりのエサになります。
また、カルシウム分は、陸奥湾のホタテの殻粉末を使用。
この他、近隣農家に生産委託している有機栽培麦。
国内最大規模の菜の花の町横浜町の菜種油の絞りかす。
八戸港で漁獲され生産される魚かす、
といった全てが自社・近隣等の純国産飼料という安全で信頼性の高いえさを与えています。
日本で飼われているほとんどの鶏が外国産飼料に依存している実態とは明らかに一線を画す、国内随一の完全国産有機飼料たまごです。
さらに鶏の生態系に限りなく近づけた飼養管理を行っており、高いところで寝るという習性を満たした止まり木を設置したり、つつくという習性を満たす野菜の常時給与といった、鶏の生理生態に適った飼い方に努めています。この生鮮野菜までもが有機野菜です。
この400羽の鶏には、専任の職員1人を当ており、一般の養鶏場では考えられないほど人手をかけています。鶏の状況を常に観察し鶏の欲求を満たす適切な飼養管理が行われているもまた特徴です。
こうして生産された鶏卵は、市販卵に比べ、卵黄色がうすいのが特徴です。
卵黄色がうすいのはトウモロコシに由来する本来の自然の卵黄色であり、着色剤などを使ってない証拠です。
卵臭さがなく、白味が盛り上がり、濃厚なコクと甘みを感じさせます。黄身にコクがあるのはもちろん、卵白までおいしい。
こうして生まれた卵は、取ったその日に牧場から消費者に直接発送されます。
可能な限り新鮮なものを、中間業者を介さず直に家庭に届けるという姿勢も自らの生産物に対するこだわりです。
この卵は、東北牧場で「身土不二(しんどふじ)」と名づけて販売しています。
「身土不二」とは、身体と土とは一つであるという考え方で、人間が足で歩ける身近なところで育ったものを食べ、生活するのがよいとするものです。ここでは人間と自然との共生をねらいとした資源循環型農業が展開されています。
ここまで徹底的にこだわり、手間を惜しまず、深い愛情がたっぷりと注がれたあすなろ卵は、1個にすると315円。
たくさんは食べない、けれども食事には
「確かなものをいただきたい」という方がこの鶏卵を求めています。
このこだわりをどうやってこのブログに書こうかと悩んでいましたが、やっぱりこんなに長くなってしまいました。
最後までおつきあいくださいましてありがとうございました。 byなおき
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