「木で”動き”を表現する楽しさ」
遊び心がいっぱいの「メカ木ズム」。
先日、八戸で会いたかった方からお話を伺えました。
お名前は、高橋みのるさん。
クランクが動き、歯車が回り、木でできたうさぎや昆虫が動き、物語を伝える。
そんな作品を作っているアーティストです。
59年(昭和34年)生まれの高橋さんは八戸にお住まいです。
何かを形にしたい、と木を彫ることを趣味としてきた高橋さん。
22才で就職し、サラリーマンになります。
社会人になっても趣味は続け、木を彫ることから次第に木のパズルといった自分で考えて一工夫したものとなっていき、さらにその平面パズルは立体パズルへと進化していきます。
その後、一から木工を学びたい、と八戸市にある郷土玩具「八幡馬」を作る会社に入ります。
3体の八幡馬を組木パズルになるようにして、1体の八幡馬を作り上げたのもこの頃になります。
そして、創作してはコンクールに出す、評価を受ける、を続けてきたといいます。
車輪を回すと車輪の回転軸に仕組まれたクランクの力で上にある人形が動く。
初めてカラクリ作品が出来たとき、「木は”動き”も表現できるんだ」とその表現できる可能性の大きさがさらに創作意欲をかき立てていきます。
動きの表現だけでなく、木が持つやさしい表情と動きの仕組みが見えることも作品の味となっていきました。
34才で独立。
2000年(平成12年)にはテレビ東京の「TVチャンピオン」の木のおもちゃ職人選手権で優勝。
全国からの注文が殺到する中、2003年県立三沢航空科学館からの依頼で、3年の制作期間を費やした木のからくり飛行船『ACT-G号』(アクトジーごう)がエントランスに展示されます。
高さ4m 長さ4.5m 幅2m 重さ300㎏。
青森ひば、桂、和紙などを使い、大空へ向かって飛び立つために行動(Action=ACT)を起こし、今、重力(Gravity=G)から解き放たれ旅立つ、という物語を、青い森の中にいる11体の住人とウサギ、カメ、トリがみんなで力をあわせてこのACT-G号を動かしているという意匠にまとめ上げています。
高橋さんのこれら作品は高く評価され、今や世界中に運ばれては展示されています。
国内屈指のトイアーティスト高橋さんにこれからの創作について伺うと、
「もっともっと難しい作品にチャレンジしていきたい。」
「作品の中で物語を感じさせてきたい。」
「例えば、『花が咲く』・・そんなことをメカ木ズムで表現してみたい。」と話してくれました。
これからも意欲的な作品が生まれてきそうです。
三沢航空記念館のエントランスに行ったらACT-G号の乗組員がどんな動きをしているか、回転する歯車がどの動きと連動しているか、見逃さずにジックリと見てみたい。
そしてACT-G号のエンジン内部にDNAと同じ二重らせんが組み込まれ、前後のプロペラと12枚の羽に力が伝わっているのも確かめてみたい。
「A・C・T・G」にはこの二重らせんの塩基「A(アデニン)、C(シトシン)、T(チミン)、G(グアニン)の意味も込めたという高橋ワールド。
もう目が離せません。 byなおき
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