懐に陸奥湾を抱く青森県の地形は面白く、
地図で直線距離を測るとけっこう近いところにある佐井村ですが、
陸路の時間距離となると青森市から4時間弱の遠いところ。
この時間距離を縮めてくれるのが「高速旅客船ほくと」です。
総トン数90トン、最大速力25ノット、旅客定員126名のこの船は、
青森・佐井間を約2時間30分弱でつないでくれます。
運が良ければイルカを見ることもできるし、
仏ヶ浦付近のビューポイントでは速度を落としてくれるので、
この上なく楽しい船旅を満喫できる…はずでした。
この日はけっこう浪が高く、
「ほくと」の船体は右に左に上に下に揺れまくり。
一緒に揺れる私は出航10分ほどで酔いそうになり、
その後は佐井までひたすら眠るのみでした。
したがって景色的なものを楽しむゆとりは全くなく、
とてももったいないことをしてしまいました。
佐井に着いたのはちょうど12時、まさにお昼どき。
以前から気になっていた”縫道(ぬいどう)食堂”へ向かいます。
“縫道食堂”は佐井村福浦地区の国道338号線沿いにある小さな食堂ですが、
その実力は驚くべきものでした。
総勢13人の団体だったのですが、
注文は「うに丼(1,500円)」「三色丼(2,000円)」「歌舞伎丼(1,000円)」に集中。
出来上がりを待っていると、トイレに立っていたT氏が、
「ちょっとちょっと。なんかすごい”うに丼”だよ」と興奮気味に戻ってきました。
ほどなく出来てきた”うに丼”は本当にすごい”うに丼”で、
ご飯の上に隙間無くうにが敷き詰められ、
見た目には100%ご飯の存在を確認できないほどでした。
続いて運ばれた”三色丼”は、
うに2分の1、あわび4分の1、いくら4分の1で構成された非常に豪華なもの。
S氏はこれをどういう配分で食べるかに相当苦慮し、
最終的には「うに、うに、いくら、あわび」で決着した様子。
贅沢な悩みを抱えてしまうどんぶりでした。
最後に運ばれたのは”歌舞伎丼”。
うに、あわび、いくら、いかの四色丼で、
見た目こそ他に比べると若干インパクトが小さいですが、
驚くべきはそのコストパフォーマンス。
1,000円でこのクォリティーというものはまずお目にかかれないでしょう。
さらにみんなが驚いたのはそのセット内容。
刺身2品、小鉢3品に味噌がセットでついてくるのです。
これはもう定食クラスで、丼を白ご飯に置き換えて1,500円くらいで出しても、
それはそれで成立してしまいそうな感じです。
下北は遠いというイメージが先行してしまいますが、
ひとたびそこに行ってしまえば、
それまでの時間を忘れさせてくれる満足を与えてくれます。
縫道食堂”、本当に良い食堂でした。
by YOSHIHITO
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