このまん丸いブリキ缶に見覚えはありませんか?
昔はどの家にもブリキ缶に入った津軽飴があり、
飴を食べきった後のブリキ缶は、
子供の宝箱になったり、祖母の裁縫道具入れになったり・・・(笑)。
特に使い道がなくても、なかなか捨てられなかった記憶があります。
さて、青森には「津軽飴」と呼ばれる食べ物があります。
津軽飴は一般的に言うところの”麦芽水あめ”。
澱粉を麦芽でゆっくりと糖化させ、
それを絞って煮詰めてつくる天然の甘味料です。
戦後の食糧難時代から、
もともと使われていた米に代わってイモの澱粉を用いるようになりましたが、
麦芽で糖化させるこだわりの製法は今も昔のまま。
聞くところによると、今は酸や酵素を使って糖化させている水飴が多いのだそうです。
津軽飴の老舗「武内製飴所(青森市)」は安政5年の創業。
富山出身の初代は津軽藩に使えた武士で、
二代目が「柳屋」を名乗って商人に転じ、
三代目から水飴をつくる菓子屋となりました。
それ以来、
やわらかいソフトタイプやプラスチック製の壺入りなど、
商品ラインナップを増やしつつ、
昔ながらの津軽飴を守り続けています。
津軽飴は当初「曲げわっぱ」に入っていたのだとか。
わっぱが手に入りにくくなった昭和37年頃から現在のブリキ缶に切り替わったと八代目武内喜兵衛こと勇一(70才)さんが教えてくれました。
未精製ならではの特有の風味とやさしい甘味。
「せんべい」に塗ったり、割り箸でぐるぐる巻きにして食べた記憶しかありませんが、最近は、砂糖代わりに料理やコーヒーに利用する方が増えているのだそうです。
懐かしくておいしい津軽飴は、アスパムや青森空港、おみやげ屋さんなどで手に入りますよ。
by 義人
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