スーパーや果実店には青森産『つがる』の姿が・・・。
いよいよりんごシーズンの到来です!
確かに極早生りんごはお盆の頃から出回りますが、
味がのった「つがる」が出回り始めてこそ、
「りんごの季節がやってきた!」と感じる人も多いのではないでしょうか。
9月~10月の一時期しか出回らないため、
あまり注目されない不憫なところがある『つがる』は青森県りんご試験場が育成した品種。
今から70年以上前の1930(昭和5)年、ゴールデンデリシャスに紅玉の花粉を交配し、
1943(同18)年に選抜されました。
選抜された当初から”味が良い”と評判だったようですが、
交配当時の組み合わせを書いたラベルを紛失してしまい長らく花粉親が不明だったことや、
着色があまりよくなくて、果実表面がベトベトする「油あがり」という現象が生じること、
収穫前の落果が多いことなどの理由から、
品種の命名や登録はすぐには行われなかったといいます。
ところが、先に県外で「味が良い早生種」として注目されるようになり、
長野県などでそれぞれ別の名前で栽培されるようになったため、
1970(昭和45)年に『青り2号』と仮に命名し、
それから5年後に『つがる』の名で品種登録されたのです。
『つがる』というりんごは、
紅を刷毛で塗ったような縞模様の外観と、
早生種としては珍しいほど多汁で酸味が弱く、
さっぱりとした甘味を感じられるのが特徴で、
生産量は全体のおおよそ1割を占めています。
わからなかった花粉親は、遺伝子分析の結果「紅玉」であることが明らかになりました。
着色にしにくいという点は、より着色の良い系統を選抜することで克服しました。
落果しやすいという点は、栽培管理技術の発達で克服できました。
しかし、「油あがり」という特質だけは変えようがありません。
『つがる』の表面がピカピカに光っているのを見て、
「ワックスを塗っている」と誤解する方が多いのだとか。
でも実はこれ、熟したりんごが分泌する成分(リノール酸とオレイン酸)が果皮に含まれるロウ成分(メリシン酸やノナコサン)を溶かすために生じる現象なんですよ。
広い意味で果実の保護と考えられていて、つがるのほか、ジョナゴールドや千秋にも多く見られます。
これらの物質にはもちろん害がなく、むしろりんごがよく熟していて、食べ頃になっているサインです。だから、ピカピカの『つがる』やテカテカの『ジョナゴールド』を見かけても、決して驚いたり、買うのを躊躇したりしないでくださいね。
品種らしいおいしさの証ですからね!(笑)
by 義人
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