先日、下北半島のむつ市脇野沢地区(旧脇野沢村)へ。
県内のテレビニュースや新聞で見知っているかも知れませんが、
約25年前から飼育と販売に取り組んできたイノシシの供養祭と感謝祭が行われたのです。
下北半島の西の玄関口、むつ市脇野沢地区は、天然記念物のニホンザルやカモシカが生息する自然の宝庫で、マダラ、クロソイ、ホタテなど、新鮮な海の幸に恵まれた漁村。
一見豊かでのどかな村ですが、夏はヤマセが吹きつけ、冬は激しい地吹雪が襲います。
夏場にはたくさん訪れる観光客も過酷な冬場には・・・。
名産のタラも水揚げにかげりが見え始め、
村の男達は出稼ぎのため全国各地へと散って行ったのでした。
冬の地場産業をなんとかしなければ!
村観光協会会長を兼ねていた脇野沢村農協の川瀬吉治組合長(当時)が、
村民の出稼ぎ先(滋賀県)で目にしたイノシシ料理に着目。
早速4頭のイノシシを導入したのが昭和57年のことです。

嗅覚が犬の数十倍。物音に敏感。警戒心が強くとても臆病。
飼育が難しいことで有名なイノシシ。そして脇野沢の過酷な自然環境。
イノシシ肉の生産は村にとって大きな賭けでもありました。
実際、導入したイノシシが全滅するなど、存亡の危機に何度も直面したとのこと。
しかし、冬の脇野沢を売り込むためには他で真似できない何かが必要!
強い信念で飼育方法の研究を続け、
とうとうイノシシ肉を生産・販売するに至ったのです。
イノシシ牧場で行われた供養祭で玉串を捧げた後、
会場を「イノシシの館」へと移し、
今シーズン初(※)となるイノシシ料理を味わってきました。
※イノシシを飼育している脇野沢農業振興公社では、脂がのる冬場こそ本来の味が出るという考えから、出荷は11月~翌年3月までとしています。

(↑鍋もいいですが、鉄板焼きもいいですよ~)
イノシシ肉の色は濃い紅色。実に濃厚な味です。
肉は豚に比べれば硬さはありますが、筋繊維がきめ細やかで、野生動物とは思えないほど優しい歯ごたえです。
公社の方曰く「さっと茹でるしゃぶしゃぶもいいけれど、煮込めば煮込むほどやわらかくなるので、ぼたん鍋で食べるのが最高!」しかも、緻密で中味がぎゅっと詰まっているので、どんなに煮込んでも熱くなりすぎることがないのだとか。
さらに、会場で今年の冬から発売されるという噂の「イノシシカレー」と「イノシシ丼」を発見。
一足先に味わってしまいました。


肉との相性が予想以上に素晴らしかったイノシシカレーはおかわり2杯。
タマネギなどと一緒に甘じょっぱく煮込まれたお肉がおいしいイノシシ丼はおかわり3杯(笑)。
発売日が待ち遠しいです。
亥年も残りわずかです。
今年の冬はあったかいイノシシ料理で行きましょうよ!
by 義人(試食なので小さなカップでのおかわりです。念のため。笑)
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