青森県下北地方。
本州最北端に位置するこの地域は、東西南北に海がある島のような半島です。
全ての市町村はことごとく海に向かって開かれ、
海によって富み、漁によって栄えてきた歴史をもっています。
こうした海の豊かさに比べ、下北の大地は農業には過酷でした。
面積の大部分を山林で占められるなど山がちで、
冬は酷寒で吹雪も強く、夏も冷涼で作物が限定されるのです。

豊かな海とヤマセの大地。
下北の人々は、厳しい自然に生きるからこそ、その恵みの貴さをよく知っているのでしょう。
過酷なこの地の特性を活かして、とてもおいしい高級カボチャをつくり出しました。
それが「一球入魂カボチャ」なのです。
「一球入魂」の名前は、
一株に実をひとつだけ成らせて大切に育てる独特の栽培方法に由来します。
一般的なカボチャ栽培では、少なくても3個、場合によっては5~6個も成らせますが、
でも、この栽培ではたったひとつだけ。
カボチャ好みの冷涼な気候と寒暖の差から生まれるうま味と甘味は、
ぎゅ~っと凝縮されることによって格段に高まるのです。
この栽培は、決して目新しい方法ではありませんが、
あまりに手間がかかるため、普通の産地ではなかなか取り組もうとはしません。
「量」を確保する栽培でなければ採算が取れないという厳しい現実もそこにはあるからです。

(↑これは食べ頃を過ぎた10月の写真。でも、たっぷりホクホクでした。)
さて、カボチャのおいしさは”ホクホク感”と”甘さ”のバランスです。
追熟するほど澱粉の糖化が進んで甘味は増しますが、
一方でホクホク感は失われネトネトした食感に・・・。
一球入魂カボチャは、
糖度が17度を超えるというその甘さ以上に、
ホクホク感とのバランスに優れたカボチャとして評価が高いんですよ。
極甘で超ホクホク。おそらく私の人生史上最高のカボチャでしょう!(笑)
一球入魂カボチャが一番美味しいのは8月下旬から9月中旬。
ぜひ食べていただきたいのですが、今年の分はすでに売り切れ。
このおいしい話しは、どうか、来年のその時まで忘れないでくださいね(笑)。
by 義人
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