少し前の青森市新町。
今はマンションに変わってしまいましたが、
青森を代表していたデパート「松木屋」の横に立ち食いそば屋がありました。
ここはいわゆる”津軽そば”系のおそばで、
食べ終わる頃には細かいそばの切れ端がどんぶりの底に沈んでいて、
おにぎりと一緒にそれを完食する。
何とも言えない満足感がありました。
私が青森で勤め始めた頃は昼食の大部分がそれでした。
10人ほどしか入れない小さなお店でしたが、
立ち食いそばの回転率の高さにもかかわらず、
昼時は外で待つ人ができるくらい人気があり、
今にして思えばそのクォリティの高さは相当なものだったように思います。
今は食べることができないのがとても残念です。
こんなことを思い出したのは、
先日、弘前に行った時、
駅構内の立ち食いそば屋さんで”津軽そば”を食べたから。
旧松木屋横で食べたものとは別物ですが、
当時の味の記憶が薄れた私にとっては、
「立ち食いそば」と「津軽そば」という2つの要素だけでもそこに同一性を覚え、
懐かしさをいっぱいに感じながら食べました。
もっとこうしたらいいのになぁ、という欲張りな願望がないわけではないですが、
駅構内の立ち食いそばに”津軽そば”があるということ自体が、
この食文化を守っていく上では大切なことだとも感じました。
津軽そばと言えば三忠食堂本店の”津軽そば”。
「美味しんぼ 日本全県味巡り・青森編」でも紹介され、
そのせいか最近は”津軽そば”を頼む人が増えたと聞きます。
「あおもり草子」という雑誌の記事の中でも、
ルポライター齋藤博之さんの青森の極めつけの食べ物として紹介されており、
ずっと作り続けてきた努力に脚光が浴びるのは、
とても素晴らしいことだと思います。
三忠の”津軽そば”が食べたくなってきました(笑)。
さて、数日前のことになりますが、
津軽地方の自然環境や歴史に育まれた食材や調味料を使用し、
その製法が一般家庭や飲食店等で受け継がれている伝承型郷土料理を、
「津軽料理遺産」として認定していくというニュースがありました。
「津軽そば」に限らず失われてほしくない食文化は数多くあり、
この取り組みがどのように郷土料理に光を当てるのか興味深いところです。
また、その中で「我が家の津軽料理遺産・本物の一品」も募集しており、
青森ブロガーの方の中には、とても懐かしく、魅力的な郷土料理を作り、
それを記事にされている方も大勢いますので、
応募してみてはいかがでしょう?
by YOSHIHITO
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